ルルルルとどめの一箱スペシャル
濃厚かつ妖艶!
」を熱く語る!

東芝EMIファミリークラブ GSD-6901〜6 (11月30日発売)
お笑いもの、テレビものなど、斬新な企画で通販レーベルの概念をぶち破ろうという勢いの東芝ファミリークラブから登場した、お色気歌謡曲のアンソロジー6枚組。まぁ今年は「カルトGSBOX」にスタートし、和ものリイシュー界は活発に動いたわけですが、最後の最後にこんな凄いものが登場とは恐れ入りました。お色気歌謡BOXといえば先にPヴァインの幻の名盤解放ものが発表されていますが、それと多少曲が被るといえ(今数えたらたったの6曲)、今回のコンピレーションは概念からして他のものと一線を画しています。古くは1963年から新しくは1980年の間に発表された女性歌手、女優(正統派からお色気専科まで、ビッグ・ネームも多数含む)によるお色気濃厚な音盤を、正に煩悩と同じ数だけまとめたという夢のような逸品。特に私をそそる時代である、1969年(エロな年)を中心としたサイケ時代〜石油ショック前夜の音源に重きをおいて選曲されているのが嬉しくてたまらない。そして各々に素晴らしいレコード・ジャケットの再現と、あのソフトロックもの解説で他の追随を許さない土龍団のお二人による詳細すぎる歌手の経歴紹介が付けられているのだから文句無しです。当時を知る紳士の皆さんのみならず、昨今の娘なんて意地なくてヤだっつー若き勇者達のハートまで鷲掴みにすること間違い無し、もうまじで失神ものです!!!!
なんて軽い口ばかり叩くのもなんだけど、ほんとあの時代のお色気は高貴でかつ眩しいものだと思い知らされる。編者の方ほど映画界に浸り切ってない自分が言うのも何なんですが、主な表現の場を銀幕の世界としていた当時の女優達にとって、レコードは格好のファン・サービスの場でありつつ、実験の場でもあった。ディレクターや作曲家の先生はここぞとばかりに娘達を弄ぶチャンスを活かし、歌うプロマイド以上のものを作ろうと必死だったのである。どうして1980年を境にこのコンピの対象が途切れたかというと、サウンド的進化(えっ)以上に素材のあっさり化と、制作者陣の低能化が時代の区切りをはっきり形作ったからに他ならない。ただでさえ売れなくなったレコード界に、快楽というエンタテインメントはなくなったに等しく、あとはAVやエロ本(さらには言いたくないが、インターネット)の中により低俗な形で引き継がれたと見ていいだろう。だからこそここに集められた作品群は、単なるエロ盤として葬り去ってはいけないものばかりであり、その時代感に酔うことは己内のアドレナリンを正当に分泌することと同義である。各歌手のプロフィールに描かれた人間模様の数々が、音のリアルさをさらに増幅。ここには昨今の芸能界の貪欲と化した色気なんて微塵もない。全ては本能と本能の弄り合いによって作られていたのだ。そしてまた、ここに集められた作家陣の豪華さ。まさに歌謡鳥瞰図である。作詞家は阿久悠、なかにし礼から藤本義一、寺山修司、鈴木いずみ(!)まで。作曲家は筒美京平、鈴木邦彦、村井邦彦から山下毅雄、渡辺岳夫、鏑木創まで。さらにはムーンライダーズや(明確にクレジットされていないが、間違いなく)ティンパン・アレイが関わった曲もある。ただ一人、藤本卓也作品が収められていないのは、彼自身のお色気錬金術がキャパを遥かに越えているためだろうというのは考えすぎか。まぁとにかく、各々の扉を開いてみることにしよう。
壱之館
老舗、日本コロムビアの音源より濃縮の壱之館、六枚の内シングル盤保持率が一番高いということもあり、入口としては申し分のない一枚。まず辺見マリの「経験」が最初に来ているのは当然。70〜71年にはこれを意識した歌謡曲が数多く作られたが、やはり一般嗜好と平行の位置で表現されたお色気ということでこの曲の持つ意義は大きいのだ。それにしても辺見さん、熱いです。今のえみりの姿と比較すると.....女性の体温自体が30年前と今とじゃ全然違うって思い知る。続く沖山秀子「ダンチョネ節」と、今年久々に新曲も出した賀川雪絵「一年は裏切りの季節」で、我々はさらに当時の芸能界の濃度に押し倒される。錯乱する映画女優の訳ありなフェロモンと、濃厚なサウンド.....プラトニック・セッ...なんてなんぼのもんじゃいと声高らかに威嚇する楽曲群。双子フェロモンがゴージャスに攻め立てるペア・スズラン「あげてよかった」(叶姉妹、帽子食え!)やら、ねちょねちょに欲望がはいずり回るあい杏里「恋が喰べたいわ」などがCDで聴けるなんて....ソフトロックな曲調と絶妙な比喩でエロ度充満した歌詞の融合が無敵な杉本エマ「青い薔薇のトゲ」、健全なお色気が眩しいケイ・アンナ「太陽の恋人」など時代を飾った女神達の歌声にときめきながら、くらもと恵子「輝きの中から」や橘モナ(この人=太田きよみ=山崎一美と大田美喜=北見恭子はプロフィールが似すぎ)「私は蜘蛛の糸」でさらにフェロモン分泌倍増。ザ・シュークリーム「恋の五ヶ条」は歌詞の事を考えても意義ある復活。ウッアッウッアッはループで乱れ打ちだ! そして麻田奈美「おそい夏」は、存在するだけでも幸せな一枚である。ラストは向井真理子「パイパイサンバ」でニヤリとしながら。確かに聴いたなぁ、CMで。コロムビアといえばやっぱり小川ローザはフェロモン不足で漏れたと思うんだけど、千人斬り歌手として一部で有名な樫山洋子なんて訳あり的に良かったのでは(「恋にくるって」というタイトルがまずかったんかな?)ということで続編でもより一層の充実が期待できます。みといせいことか。
弐之館
弐之館は絵柄的にもそそりまくるレーベル、クラウンの音源より。まずは朝丘雪路の放送禁止ソング「スキャンドール」。彼女の淫美さとサイケな空気が合体したたまらない一曲。この曲といい、続く泉京子「魔女のブルース」といい、楽曲の良さを見事に引き立てるジャケはクラウンのお家芸。倍賞美津子「恋の芽ばえ」、由美かおる「デートの日記」と、見てよし聴いてよしな楽曲が続いたら、今度は安藤孝子の山毅前衛レズ歌謡「京おんな」と曽我町子(今年9月23日まで、Qちゃんといえばこの人だった)「謎の女B」で屈折した倒錯世界へ。その果てにいるのが三田佳子なんだから素晴らしいわ。時の人三田佳子なんて書くと編者の方を怒らせそうですが....この歌唱は心くすぐります。曲名は「幸せですのよあたくし」。(次のシングル「白い大理石」も即死ものです)。それにしても青山ミチはパワフルで黒い。フェロモン云々を越えたところに存在する真のディーヴァ(訳ありでもある)。「ハレンチ学園」の児島みゆきと、後のウィークエンダーのすどうかづみ・須藤リカはどことなく健全(実は黒い)派。辺見マリにタイトルを横取りされた悲劇の一曲、城野ゆき「経験」や、鏑木創のあばずれ世界、八田富子「女番長ブルース」は嬉しい発掘。その名もプッシーズ「見えた見えたよ」はグッドタイミーな異色曲。元ゴールデン・ハーフの高村ルナ「天使の朝」は佐藤博仕事で見事なティンパン・グルーヴだ。個人的ベスト・ソングは佐野ひろ子「ゆるしてあげない」。真性69グルーヴ。とかくレアネタの多いクラウンだけに、重量感のある一枚。中田めぐみ「しあわせに狂って」問題はやはり未解決なのか.....
参之館
キング音源を中心に、ミノルフォン〜徳間ジャパンの音源も混入した文芸色濃い一枚がこれ。75年キングからリリースされたロマン・ポルノ女優大集合アルバム「おんな不貞寝の子守唄」から選曲された3曲が軸となってる。宮下順子!!の熱いセリフと水乃麻希の危なっかしい歌が絡み合う「あまい囁き」。これは女同志が絡んでもなかなかいけるが(上手い歌手じゃないので余計楽しい)、「ジュ・テーム」はエロオヤジの存在を欠いちゃちょっとねぇ....と言いつつ、ひろみ麻弥谷口香織の健闘に拍手。構成を担当した杉紀彦氏の好き者ぶりは半端じゃない。この方は藤真利子ファースト・アルバム「シ・ナ・リ・オ」でも作詞で活躍されてますね。で、歌詞カードの写真をよくよく見ると、ディレクター・森直美氏の名が....そうです、藤さんの名盤群を手掛けられた敏腕プロデューサーですよ! やっぱ役者を扱うのが上手いんかな。同じく杉さん仕事、鰐淵晴子の「黒いらんたん」と白川和子「おぼろ橋」も聴き応えありで、これらにも狂躁曲への道が確実に潜んでいる。前者はジャケ的にもそれっぽいし。これらも森さんプロデュースなんかなぁ。ともあれ鰐淵さんの名盤「イッピー・ガール・イッピー」の再発にも期待しよう。東てる美の大胆な自作自演とこの2曲が続くあたりはギラテイストたっぷりな素敵展開だ。これら以外では、夏木マリとその前身・中島淳子のレア曲を続けて楽しめたり、田口久美田中真理の手堅い歌唱を聴けたり、その後の渥美マリ・渥美まり恵が登場したり。「熊ん蜂」にハートをさされた山内えみこ、きっと47000回刺されたのか(ウィーン・ファン以外には解んないな)。キューティ・Qの妙な集団フェロモン、林マキのグルーヴィな歌声もいい。徳間音源では、司美智子の「あなたっていいわ」。これのB面「見ちゃいや云っちゃいや聞かないで」が素晴らしい曲なんで、そっちにしてほしかったって感もありますが、我が棚にあるシングルでは切られてる下半身が拝めただけでよしとしよう。牧村純子もあえて放禁曲「そばにいたいの」じゃないところが買い。徳間にはまだまだ復活希望な屈折お色気アイテムがいっぱいありまくるので、続編実現の際は是非とも一枚かっちりやってほしいものです。うふふ、フラワー・メグ!!
四之館
四之館はお色気的にも歌謡的にも最大限にそそるレーベル、テイチクの音源中心。一部、レアな大映レコード音源も入っております。クロニクル者としてもテイチク宇宙は広大過ぎて迷っちゃうほどですが、これの選曲も当然苦労したんでしょうなぁ。続編での展開も楽しみだし。浅丘ルリ子がいないもの! それでもこれのトップが梶芽衣子「怨み節」とは当然の結果。ここまで潔いバンカラは他にない。お色気と仁侠が同居しつつ爽やかな後味を残す。野良猫ロックDVDBOXと彼女の単独ベストCDは待ち続けるぞ。渥美マリ「可愛い悪魔」、渚まゆみ「アイ・ラヴ・ユー」と大映フェロモン・クラシックスが続く。真理明美「忘れたいの」はビート・ガールズと被ったけど、最高だから悔しくないよ。愛まち子「うそ」辺りは最も正統派テイチクお色気もの。屈折すると時アリサ「女のときめき」となる。幻の名盤解放大映編になぜか一曲も入ってなかった三条魔子がここでは「シルバーフィズの夢」でりりしく誘惑。小宮あけみのファンキーな「オン・ザ・ロック」と夜の媚薬2連発がいじらしい。内田高子宝みつ子も当然いるし、あのギターだけをまとった伝説のジャケでおなじみ三朝れい子「恋は霧の中」(本ディスク中唯一の山倉たかし仕事)、嵐レナ「感じる」なんてのの発掘も嬉しい。川村真樹のエジソン・ライトハウスのカヴァー曲「涙のハプニング」は当初どうしてと思ったけど(土龍団らしい選曲なのは確か)、こんなカラフルな芸歴があったとはノー・チェックだったです。真理アンヌのえっ?なふてぶて歌唱、初期多岐川裕美の初々しい歌声、そしてケツは今回のジャケ大賞もの、松岡きっこのラブラブ指南(ブヒブヒ噎ぶサックス付き)。個人的ベスト・トラックは何と言っても花房てるみ「霧雨にぬれて」。この路線を突き詰めたコンピ作れればなぁ。このラインナップの中でも決して浮いてないカルーセル麻紀!!
伍之館
伍之館、ビクター編はエロ的にこの箱の白眉と言える一枚。いきなり、タモリ倶楽部のエロ・レコード特集で脚光を浴びた谷ナオミの「昭和枯れすすき」だからたまらない。楽曲自体がエロスの奴隷と化した稀有な一枚(LPですよ!)からの抜粋。どうもありがとうございます。池玲子「変身」は爽やかな「経験」路線が意表を突く。しかし、出来過ぎた17歳である。この位の存在感を持ってくれないとな、昨今の娘。は。 パツキン艶歌・サリー・メイも当然の登場でしょう。しかし元シャープ・ホークスだったとは....ちなみに花礼二作品。野性味溢れる杉本美樹「女番長流れ者」は池玲子に続いて収録しなかったのがかえって効果的。サンドラ・ジュリアン桑原幸子応蘭芳と掛け値無しのエロ女神の歌声が続く。この辺はスタッフの職人芸にも圧倒されるばかりだ。なるせみよこ「ひとり部屋」、加島美沙「ヨコハマの女」、椿みやこ「ネオンの女」とアンノウンものも好発掘。入って当然の麻里圭子は「ジェル・ジェ」と渋めの選曲。しかし彼女の声は爽やかかつ肉体的だなぁ。喪失感を無邪気に描いた岡田可愛「わたし、癖になってしまったの」と島田陽子のぐっとくる「愛のナレーション」のビッグ・ネームものを経て、本盤の核とも言える中原まゆみ「テイク・テン」。作詞・鈴木いずみ、これで全てです! サイケ歌謡の極致。グルーヴものとしても圧倒的、毒が満載の浜村美智子「男のためなら」で絶頂に達する。カクさんのためならエンヤコーラと、日本最後のカリスマ首相にエールを送る図太いフェロモン。幾つになろうがこの人はただ者じゃないです。結果的にこれも相当濃厚テイストな一枚、藤ユキはどこ?なんて心配は無用。
六之館
最後の扉は洗練されたお色気が眩しい東芝のネタを中心に、他社音源も若干加えた秘密の花園。のっけは「セクシーの女王」として颯爽と登場した内田高子「粋なネグリジェ」。あまりのリアルさに放送禁止とされた作品は、小唄風味の中にもお洒落な夜の匂いが充満。私ならヴァニティ6と繋ぐね。朝丘雪路の東芝時代を(エロ的に)代表する一曲「うい・う・のん」もまた放送禁止曲。しかしまた今の所謂エロと比べたらなんと高貴で美しいことか。「キューティ・ポップ・コレクション」でも異彩を放っていた緑魔子は「女はかなしい」でふてぶてしく誘惑。王道ものの一曲、奥村チヨ「恋泥棒」もちゃんと装備。奈美悦子の同名曲の方が好きなんてここでは愚痴る必要無し。さもないとおしおき鞭が連発だぞ。ここではアンノウンものもかなり充実、中でも手堅い歌手と思ってた松本ルミの「雨にぬれても」が凄い発見。中村八大迷い期のグルーヴもの、ケイ石田「時は流れて」がここで聴けるなんて.....時空を越えた名唱名曲。加山麗子「うらみ花」と梢ひとみ「明日から愛して」の場末感。水原ゆう紀(!)の「O嬢の物語」(!!)なんてギラ風味の隠れ逸品もある。RCA音源からは、池玲子の貴重な映画主題歌「お蝶のブルース」、ジャケ文句無しでしかも荒木一郎仕事ときた。津々井まりはグルーヴ系人気曲「悪なあなた」じゃないとこがまた意地ですね。この曲「首ったけ」もいいけどね。フォーライフから選ばれた一曲、中川梨絵「踊りましょうよ」はムーンライダーズ仕事!!!!でこれもまた狂躁曲への長い道の上に位置する一曲。大和京子「予感」とかまだまだ気になる東芝ネタあるんだけど、もやもや気分のまま館を後にするのも悪くないねっということで最後の最後はアイ・アバンティとそのグループ「新女大学」でしめくくる。この人の正体がまさかあの人(ねぇム.....)だったとは.....私ゃ別のIが付く大作曲家の方と思ってました....
というわけであまりにも濃厚なお色気音盤の旅、これは歌謡涅槃の一つの形である。続編を熱望しようではないか!! 本文では触れなかったけどユニバーサル系も素晴らしい夜ネタの嵐だし。東宝音源も何とか混入してほしいし。最後に、これはやっぱり密室で楽しむのが一番である。クラブでなんてだめよん。うふふふふ、むふふふふふふふふんんんん........!!!!!!
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