'99新春国際放談もどき:
丸芽志悟vs海外ポップ・マニア、GSを熱く語る!

かねてからH45の随所で書いていた通り、去年の8月に頂いたEメールがきっかけとなり突如丸芽志悟とベルギー在住の60'sポップ・マニア、Ronとの交流が始まりました。なんと宗内のページのバナーを見ただけで私が60'sポップ・ファンであるということを早急に察知したその触覚には恐れ入りましたが、それ以上に彼の60'sポップに対する心意気に圧倒せずにはいられず、またレアなレコードを集めるだけでは不十分ということで他のマニアとのテープ・トレードを熱心に行いネタを増やすという姿勢にも心打たれました。そんなわけで丸芽は、自分のトレードのネタとして彼が未だ到達したことのない日本のGSを用意。そのGSの音がこれほどまでに彼の心を動かしてしまうとは......というわけで今回アップする新春スペシャル・ページ第2弾では、この3ヶ月の間熱心にやりとりされたEメールを元に構成した、丸芽とRonによる「仮想GS談義」をお送りします。こういう形じゃ絶対衝突はないもんね。さすがはサイバースペースの成せる業。モンキーズとアーチーズの違いに等しい (45tist歴1年未満の皆さん、深く追求しないこと.....) まあ、途中何度か不愉快な意見やらが行き交った事もありましたが、今ではそんなの全く気にしていません。それでは対談スタートと行きましょう!

丸芽志悟(M):というわけで新春スペシャル・ページ第2弾としてRonとのヴァーチャル対談をお送りすることになったんだけど、まず手軽に自己紹介でもお願いします(おいおい)
Ron(R):Happy 45tistにアクセスしてる皆さんこんにちは、僕の名前はRonといいます。ベルギー在住、独身。歳は丸芽より2割程上。趣味は1960年代のポップ音楽を聴くこと、収集すること。趣味というより最早「人生の道」だね。もう20年もコレクトし続けてる。ヒットしたものを集めつくしたら、今度はマイナーなもの、さらに世界各国のものへと視野を広げていて、全くきりがない世界だよ。特にあの時期のマイナーなもの、所謂「ソフト・ロック」と言われているやつとか、流暢なオーケストレーションをフィーチャーした曲、それにサイケでもちゃんとメロディがあるものが好き。単なるビートものとかファズバリバリのガレージ、それにフォーク系はどうにもだめだな。近年の日本のファンの研究熱心さには敬服してる。僕が長年追い続けてきたようなソフト・ロック・サウンドにしっかりとリスペクトを払っているんだからね。そのことでレコードの値段が上がるのには我慢ならないけど。そんなわけでネットサーフィンしていたら、60年代の日本のガール・シンガーの写真が沢山あるサイトを見つけた。言うまでもなく「宗内世津のDuBiDuBiパラダイス」のことだ。そんで、こいつならきっと解ってくれるだろうなということで、宗内の母体丸芽志悟にコンタクトをとってみたんだ。そしたら彼は日本のポップだけではなく、僕の知らないアメリカのマイナーなポップのシングルをいっぱい持ってるという。凄いじゃないか。それならテープ・トレードしようじゃないかということで、交渉が始まった。彼が言う事には、「日本にもGSという素晴しい60年代文化があるから、是非それも聴いて欲しい」と。今まで世界各国のポップスを追い求めていたけれど、日本のは何故かノー・チェックだった。彼によると、海外ではガレージ音楽としてのGSに注目が集まっているけれど、ポップとして評価する人はいないらしいから、是非とも60年代ポップ専門家としてチェックしてみたいという気になったんだ。以上。
M:ってわけで自分のコレクションの曲と一緒にGSの曲をテープに入れて送った訳だけど、予想以上に楽しんでもらってるみたいでうれしいな。とりあえずコメントしてもらおうということで。まずやっぱりCD再発で盛り上がっているスパイダースからいこうか。彼等の曲はアメリカのウェルウォーター・コンスピラシィというバンドがカバーしていたりして、凄い海外でも評価高いんだけど、今回は結構ポップなものをセレクトしたんだ。
R:まず「あの時君は若かった」ね。これ凄いいい! なんかあったかい気持ち。このメロディ、この歌声、素晴しいコーラス。涙が出そうになるよね。これかなりヒットしたんでしょ?
M:もちろん! チャートで6位までいってる。このエンディングのコード進行も画期的だよね。ちょっとさかのぼって「サマー・ガール」
R:ビーチ・ボーイズに影響されている曲だけど、すごいハッピーな気持ちにさせてくれる曲だね。それから「黒ゆりの詩」、これもいい! バック・コーラスの入れ方が素晴しいね。ちょっとギターがうるさいけどね。
M:アソシエイションをパワー・アップした感じだね。次が「真珠の涙」
R:魔法のようなオーケストレーションとコーラスだよね。
M:これは後で説明するけど、筒美京平という、日本のポップス界ではマエストロとされている偉い人がアレンジしているんだ。そんで曲を書いているのが彼等の音楽的リーダーであるかまやつひろしさん。もちろん次の「夜明けの二人」も彼の曲。
R:結構クラシックに影響されてる感じだよね。というか、日本の伝統的メロディって感じ? 決して西洋人に書けない、いいメロディだね。素晴しい。
M:どうもありがとう。今度はテンプターズなんだけど、彼等は松崎由治という凄いソングライターを擁していてね。今回入れた曲の殆どは彼の曲なんだけど、Ronが一番気に入った曲は違うんだよね。
R:そう、「帰らなかったケーン」
M:これもかまやつの作品なんだ。Ronは結構かまやつを買ってるって感じだね。
R:最高のイントロだよね。オーケストラが疾走感を出してて、ギターもそんなに気にならない。
M:テンプターズの好ライバルだったタイガースだけど、オーケストラといえば良くも悪くも彼等が思い浮かぶな。
R:この「銀河のロマンス」って凄い美しいイントロだね。素晴しいオーケストレーションだし。次の「花の首飾り」も同じ印象。
M:これはリード・シンガーが違う人だけどね。
R:「落葉の物語」はもっといいね。「廃虚の鳩」はまさにクラシカル・ポップと言ってもいい曲。
M:次にワイルド・ワンズ。彼等はかなりMORっぽいから、絶対気にいると思って選曲したのが....
R:「花のヤング・タウン」! すごい! かなりレベル高いポップだよね。息もつかせぬ展開だね。
M:「青空のある限り」はすごいいい曲なんだけど、ファズが強烈すぎたんかなあ。でもこのB面「あの人」は.....
R:メロディ、歌唱、アレンジともよく出来てて、聴けば聴くほど良くなってくる感じ。
M:「昨日に逢いたい」はよりMORね。
R:でもこれはいい曲。曲自体よりもイントロが素晴しい。それから「若草萌える頃」もボーカル、盛り上がり方共に文句なし。
M:同じ東芝でランチャーズも何曲か選んだんだけど....
R:「Hello! Baby My Love」は結構サージェント・ペパーしてる。効果音とか。「You Are There」も.....良すぎて言葉出ないね、本当いい曲。
M:これは歌詞が英語だしね。もう一曲「悲しみにサヨナラ」もあるんだけど。
R:キャッチーだね。日本語が解れば一緒に歌っちゃえそう。
M:エンディングは暴走してるけどね。あとランチャーズの喜多嶋修によるジャスティン・ヒースクリフも一曲入れておいた。
R:「Life」ね。これはもろビートルズっぽいUKサウンドって印象。でもいい曲。
M:ゴールデン・カップスは凄いワイルドだから一瞬ためらったんだけど、この曲は....
R:「愛する君に」。すごいいい。ソウルフルな曲だね。オックス「スワンの涙」も入っているね。イントロがいいし、ボーカルがセンシティヴな感じ。
M:これが「筒美京平サウンド」だね。同じ筒美サウンドで、ヴィレッジ・シンガーズ「バラ色の雲」も入れておいたけど。
R:イントロから最後まで、はじけまくってるいい曲だよね。
M:一応当時「フォーク」と言われていたけど.....あとフォークの素性を隠しているというので入れたのが、ズートルビー「水虫の歌」
R:妙なノベルティ・ソングって言ってるけど、このオーケストレーションは僕好み。あと面白い盛り上がり方するよね。ズートルビーって何?
M:一応「ビートルズ」のアナグラムだけど.....説明しづらいね。ジャガーズも入れといたけど....
R:「フェニックス」。これ凄いいいね。当時の日本人作曲家の職人芸って信じられないな.....よく練られたアレンジ、はっとさせられる。他にはビーバーズ「愛しのサンタ・マリア」スウィング・ウェスト「涙のひとしずく」が凄い気に入った。
M:でもそれ以上に気に入った曲がもっとあるんでしょ? ここからはカルトGSの領域ということで.....
R:そう、エキサイトしてくるんだよね。
M:まずやっぱ日本のソフト・ロックの最高峰と言われている、フィフィ・ザ・フリー「栄光の朝」から聴いてみようよ。
R:おっ、イントロから素晴しいね! オーケストレーテッド・ポップの最高峰じゃないかな。英語で歌ったらきっと海外でも受けたんじゃないかな? 日本ではヒットしたの?
M:残念ながら、これが発売された1969年って皆が内省的で暗い歌ばっかり聴いていて、この曲は完全に無視されてしまったんだ。ここ数年のソフト・ロック・ブームで急激に見直されるようになるまでは、全く評価もされなくて。これを出しているアルファ・レコードは80年代にアメリカ進出して、YMOやビリー・ヴェラをヒットさせたんだけど、もし1969年だったらフィフィが世界進出ってこともあったかもね。
R:惜しいよね。日本人も聴く耳を失っていたってわけか。B面の「戦争は知らない」はちょっと地味だけど、次の「イエスタデイ・トゥデイ」はいい曲だね。
M:これは海外の曲をとりあげたみたいだけど、オリジナルはご存じ?
R:残念ながら知らないんだ。John Baconって? それともう一曲「限りなくあたえるもの」もすごいいいね。心の奥に訴えかけるものがある。
M:続いてこれもソフト・ロック・ブームで再評価されているリリーズ。双子じゃないよ。シングル両面すごいいい曲なんだよね。
R:A面の「ドアをあけて」は、曲全体から幸せが伝わって来るいい曲。B面「イマジネーション」はもっといいね。何て素敵なサウンド....音楽って地球的な言語だって感じるよ、これぞハッピー・サウンドだね。
M:次はポニーズなんだけど、あまりにも無色でGSファンにもソフト・ロック・ファンにも全く評価されていない可哀相なグループだ。この「雨降る街角」は、個人的にGS曲の中でも一二を争う名曲と思っているので収録したんだけど......
R:イントロから素敵だね。「雨」の歌というより、晴れの日に聴くにふさわしいって感じ。アメリカのソフト・ロックなんか殆どこの曲にかなわないと思うよ。B面のシタール入り「アガナの乙女」は、これこそ"Pepperisms"のCDに入るべきポップ・サイケ・ナンバーだね。
M:ピーターズは、オーケストラ入りの凄いいい曲とされている2曲のA面曲がCD化されていないのが残念だけど、一応B面の内一曲「白い荒野」を入れておいた。多分「キャンディ・ガール」はお気に召さないと思いまして。
R:とてもいい曲。ボーカルがうまくブレンドされていて、ドライヴ感がある。なんかマカロニ・ウェスタンのテーマを思い起こさせるよね。
M:GS研究本にもそう書いてある。あとカルトGS系でお気に召したのは.....
R:ジェット・ブラザーズ「愛の祈り」バロネッツ「恋人たちの森」。丸芽が強力に推していたラヴ(もちアーサー・リーじゃないよ)の「イカルスの星」は悪くはないけど、ちょっとひっかかり不足。オーケストラが入っていないからかな。
M:ザ・マミローズハロー・ハピーもソフト・ロックっぽいと思って入れておいたけど、ちょっとフォークっぽすぎたかな。
R:それとフローラルは結構陰鬱っぽいね。
M:というわけで、いよいよRonに認めて頂いた日本のウルトラ・ポップ名曲3曲を発表ということに致しましょう。まずはティンパニーがどどどーーーーーん。そう、この曲。
R:アダムス「旧約聖書」だ。
M:この曲はタイトル通り「神様は何々をお造りになり....」という内容で強引に男女関係に導いていくというとても考えものな歌詞なんだけど、他のどのGSレコードをも上回る人数のオーケストラと合唱団を動員してスケールの大きさに拍車をかけているんだ。
R:とにかくイントロからWOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOW!!!って感じだね。この大音響イントロから崇高なコーラス、そしてポップなメロディ! これこそ完璧なポップ・ソングの見本だね。本当あまりにもいい曲で、ちょっと続けて聴き続けるのは辛いほど。
M:続いて、GSのテープ・トレードが一段落したら本格的に取りかかろうと思っているガールものの見本として入れておいた曲の一つに、Ronがめっちゃ唸っちゃったのがあったよね。
R:そう、ムトー・早苗「アロハの恋人」。YEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEES !!!!!!! oh YESSS!!! ピンときたね。
M:おおおっ。CD化していない曲だけに嬉しいね。これが先に触れた筒美京平先生の曲で。
R:幸福感が伝わって来るね。GRRRRRRRRRRRRRRRREATなメロディ、素敵な歌声。思わず近所に響くほど大声で叫んでしまうほどいい曲だよね。早速ウォークマンで聴くため「特別テープ」にダビングするよ。もっといいガールものあるんでしょ?
M:一応可愛和美「素晴らしい朝」とか入れておいたけどね。これも筒美作品。
R:"Feelin' Groovy"にもろ影響されているいい曲だよね。きっと可愛いコが歌ってるんでしょ。
M:それは正しいね。それより、「パクリ」という言葉を使ってくれなかったことに感謝するよ、Ron。というわけで究極の一曲を発表してくれよ。
R:じゃ行くよ。もちろんこれ、P.S.ヴィーナス「青空は泣かない」!!!!!! KA-BOOOOOOOOM !!!
M:おおおっと、これで来たか。とにかく、全く正当に評価されたことがなかった曲ゆえに、凄い意外だけど嬉しい。
R:正当に評価されなかったとは日本人の耳はおかしいね。とにかくこれぞパーフェクトな曲だよ。それ以外にいう事なし。もう一度言うけど、パ・ー・フ・ェ・ク・トなポップ・ソングだね。「青空は泣かない」って言い得て妙なタイトルだけど、僕は泣けてきちゃう。それ程いい曲だもの。これ大ヒットしたんでしょう日本で?
M:残念ながら、フィフィのところで書いた様な理由で完全無視だった。
R:悲しいね。
M:しかも彼等はステージではパワー・ポップを演奏していて、オーケストラ入りのポップは明らかに本性ではなかったみたいなんだ。そんで1枚シングルを残して解散して、メンバーの内何人かが先のピーターズの残党と共にロック・パイロットという、これもここ数年パワー・ポップが再発見されたおかげでやっと評価にありつけたバンドを結成したんだ。
R:へぇー、70年代以降には無関心なんだけど、そうなんだ。もう、何度も何度も聴いちゃって、一緒に歌える位。今度日本語の歌詞カード送ってくれない? コーラス部分は"Let's walk in the shadow/ and kiss in the sunshine...."って歌詞がぴったりはまるよ。
M:歌の内容もまさにそんな感じ。よくやるね。もし橋本淳氏のメール・アドレスを知っていたら今すぐ知らせたい位。で、曲を書いたのはまたも筒美京平氏。
R:凄いねこの人は。名曲に次ぐ名曲で......B面の「雨あがりの散歩道」は、A面がこんなにいい曲なんで聴くの怖かったけど、これも水準に達しているね。
M:というわけで、一通りというより完全に一握りでしかないのだけど、GSの名曲を聴いてみて思ったことは?
R:とにかくメロディック・ポップに関していえば、日本はトップ・クラスに達しているってことだね。世界中のポップを聴いてきた僕が言うんだから間違いないよ。
M:本当うれしい。ポップスとしてGSを世界規模で評価する人なんていないと思っていたから、GS研究家の黒沢進さんもきっとびっくりすると思うよ。一応知人経由でこのページをチェックするように伝えるつもりだけどね。
R:それはうれしいね。
M:GSとのトレードでRonに紹介してもらったポップスも素晴しいものが多いね。今までは見向きもしなかったアメリカ、イギリス以外の曲も全く侮れないし。この辺は、将来Happy 45tistでじっくり検証してみることにするよ。
R:どうもありがとう。じゃ今年もHyper-Happyな一年を!
M:Thanxx!!!!!

というわけで、長々と付き合って頂きありがとうございました。GSファンの方の率直な意見(「この曲も忘れちゃいけない」とか)が聞けたらうれしいです。何より、当のGSメンバー達から反応があれば、きっと彼も喜ぶでしょう。ご意見は丸芽志悟宛に「GS係」としてお寄せください。なおRonの誇る膨大な60'sコレクションに関心のある方にはこのサイトを訪れてみることをおすすめします。このべらぼーでないアクセス数が彼への信頼を物語っています。そんな方にGSをここまで熱く語ってもらったら、日本人として感涙にむせばずにいられません....

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