80年代を軽視する者に現代を嘆く権利なし!
DJイベントの異端、緩音夕が今宵再び華を咲かせます
80年代音楽 (和洋関係なし)+
それなしには決して生れ得なかった現在(いま)の音楽+
その他ちょっとだけ
一つの空の下では決して聴けない音の宴!
まえがき
何故今回名古屋で? それはまず前回大阪での「テキサスの小鳥を守ろう」の質的な大成功に乗りすぎてしまった私・丸芽志悟が、大阪以上にキている街だと思っている名古屋で緩音夕をやらずしてどうする? と悟ったからでした。幸い中部地方には相当数のルル網シンパがいるし、東京や横浜の方も大阪に比べると行き易いだろうということで。何せまだ東京凱旋をしようというモチベーションには至ってなかったんですよ、色々と事情がありまして。同時に我がメイン嗜好である60年代・70年代をかなぐり捨てて、色々な意味で屈折している80年代を念頭に置いたイベントをやらずにいられないという決心も芽生えたんです。「テキ小守」で何が皆をエキサイトさせたかを振り返るとそう思って当然でしょうな。
そんなわけで4月の頭から具体的行動を開始。心に思い描いていた同志の皆さんとほぼ一発で意気投合できたルル網マジックが、もうこの段階で全開となった感もあります。4月下旬にはハコ側との最終詰めも兼ねて再び名古屋行き。この段階で相当量資金を浪費してしまいましたが、結果良ければ悔やむ事はありません。
さてやってきました当日・6月13日。丸芽は朝9時に自宅を出発、11時発の新幹線で慌ただしく現地に向いました。何せ今回は12インチ・シングル中心のネタのため荷物が大変だし、日程の設定上着いてしばしリラックスということができない。集合場所も事前まではっきりと決めていなかったため、どうなるかと思われましたが、名古屋到着直後無事フクダさんと合流し、残り4人が待っている栄駅出口へと向いました。フルメンバー集合後、早速近所のカレー屋さん「スパイスの秘境」にて壮行会。前回に続いて、カレー屋で壮行会というのは緩音夕の一つの伝統になりつつあります。いよいよ3時にハコであるsound bar M's入り。周辺の如何わしい雰囲気は早くも同志のハートをがっちり捉えたようです。
4時まで打ち合わせとちょっとしたリハーサル。特にDJ初体験のメンバー達は緊張しつつもエキサイトしている様子で、これはまた「初DJ啓示神話」が一つ生まれるなといい予感がしました。「DJ面白いなぁ、シンセサイザーなんか要らないよ」という某氏の声が既に興奮の予感を。
さあ、いよいよスタート。前の週の日曜日一日使って編集した緩い映像(その前日TGVで体験したswitch/hitterの映像に触発されたことは言うまでもない)が流れ始め、10分間の恒例「オープニング・コラージュ」に。YOU、サンスト、鶴光オールナイト、ゼビウス、ベストヒットU.S.A.、夕ニャンなど、そこここに80年代の香りをちりばめ、最後には80年代洋楽ヒット曲50曲を細切れミックスアップ・コラージュ(どさくさにまぎれて「恋愛15シミュレーション」も入れたのは解ったかな?)してヴォコーダー声による開会宣言へ。まずは一番手。
一番手となったKaseoさんは、実はルル網最も最初期からのつき合いなのですが、実際顔を合わせたのは当日が初めてだったんです。特に前回の「テキ小守」で、家族行事の都合上共闘できなかったのを本当に惜しんでいたということで(30さんやrakasuさんとは是非御一緒させたかったです....)、今回はまず真っ先に御一緒しなければと思いました。言うまでもなく、教授サンスト・デモテープの輪から派生した「ビックリ水族館の輪」がきっかけとなってお知り合いになり、以後もいろいろと交流が続いていました。
今回はやはり80年代ということでニュー・ウェイヴ色濃い選曲をとお願いしたのですが、さすが微妙に王道でありつつ王道ではないというナイスな選曲でもってこられました。前半はあっと驚くマニアックなテクノ、かと思うと漫才ブームのかけらを繋ぎに後半は異色テクノ歌謡で攻めてきます。ジャッキー・チェンの映画イメージソングからトホホな歌詞の伊藤サヤカを経てトミー・フェブラリー(もちろんアナログ盤使用)が現われる所には意表を突かれたなぁ。ラストはデモテープの輪に敬意を表した(?)ジュラン。彼のプレイ中にお客さんがいなかったのが、残念でしょうがありませんでした......
東京での緩音夕2回にはお客様として参加してくれたむらかみさんも、普段から絶妙の嗜好センスで一目置いていて(第2回のバトルタイムでも意表を突くネタで参加してくれました)、是非ともフルDJプレイを聴きたかった一人でした。しかしここまで斬新かつ見せ場を心得たプレイをしてくれるとは......ほんと脱帽でありました。80年代という主旨から多少ずれるにしても、80年代の末梢にはしっかりリスペクトを払ってくれた選曲ではあると思います。
メジャー発売を1ヶ月後に控えた「マツケンサンバ」(勿論会場売り盤よりの別ヴァージョン)でまず仰け反らせ、得意のカルトヴィジュアル系を随所に交える。既にクラシックネタの称号を得ている「男のロマン」はおいとくとしても「タッチ」のカヴァーみたいな凄いのが出てくるとはびっくり! これはコスプレ厳禁ヴィジュアルDJナイトなんてのがあれば是非行きたいな。カルトGS並に再評価が凄くなったらどうしよう。しかし最大の見せ場はZONEに続けてプレイされた光GENJI。プレイヤーの前にLPジャケットが一枚ディスプレイされたと思ったらもう一枚、また一枚.....なんと合計5枚の同一ジャケットが並ぶという壮観! 「見せ場」的にはまさに緩音夕史上に残る凄い瞬間が演出されたのでありました。鮮明な画像があればアップしたんだけどなぁ。
ラストは「タモリ倶楽部のへや」の主らしく「私としたことが」のアレで締め。当然『おバ歌謡』の発売前だったのでオリジナル・シングル盤より。驚愕のリアクションで迎えられていました。ああ、なかにし礼天才! と叫んでしまった私はこの後どう繋げばいいのだろうか.......
私丸芽の第1部は、現在収集対象品としては最も軽視されてしまってると言える80年代のロック系12インチ・シングルを使ってどれだけ遊べるかというのを課題にした選曲で、当然殆どの曲をフルで流していません。1曲目のAONは、初来日公演の時に披露された実験的トラック。そしてファン、回しや一般の両方からそっぽを向かれてしまっているブルース・スプリングスティーンのリミックス3部作の一つに繋ぎました。レーガニズムの象徴と誤解されているその曲から、そのレーガンへの追悼の意味を込めたアホなトラック「ロンのラップ」に繋ぐのも当然の成り行きでしょう。これは7インチだったんですが、レーガン氏の死に伴って遥かに早いタイミングでかけることと相成りました。あとはやっぱアーサー・ベイカー仕事が多いかな。ポールのニューオーリンズっぽい曲をサンプリングの洪水でずぶずぶにしたトラックなんかも、現在は殆ど顧みられることないし。ストーンズの曲に至っては殆どミックのシャウトのサンプリングとジャングル・ビートだけになっちゃってるし。そして最後の方ではバカなパロディも織り交ぜつつ、クイーン曲のアホなカヴァー2連発で締めました。このセットの殆どのネタをリアル・タイムで買ったということを考えると、これは自分の恥部を「Dig」している、即ちDJの基本には反していないということに気付きましたね。
今回の紅一点である情念憑子さんは、前回の「テキ小守」で恵比寿さんがシブがき隊をプレイした時、我を忘れて興奮していた姿が印象に残り、是非今回力になって下さいと声をかけたのですが、最終的に回しやをやってもらうしかないと決定づけたきっかけは、2度目の打ち合わせの時に見せて頂いた、彼女の携帯のメモリに入っていたコンピCD-Rの選曲リストでした。これは凄い、何かやってくれるに違いない、と。
そして、やはりやってくれました。巧みな話術を活かした「ニセ・ミスDJ」スタイル! 緩音夕の基本にあるのは「ニセ」です。いかにも80年代のスタイルである「女子大生DJ」のコンセプトをニセ化、しかもコール&レスポンスまで織りまぜるとはさすがのサービス精神。その上メイドコスプレだもんなぁ。偉いっ! ラスト近くでB'zが流れ始めた時は、「最早ネタと呼んではいけないネタなんてないのだ」と言う最終的悟りに襲われ、主催者として解脱の境地に辿り着いてしまいました。感無量です。どうもありがとうございます。「普通の女の子に戻ります」と言ってマイクを置いた最後のパフォーマンス、ほんと勿体ない。
ニセ歌謡コネクションのリレー、いよいよマスターであるフクダさんのセットへ。本当、彼がいないと緩音夕は成り立たないってところまで来ましたね。憑子さんのエキサイティングなおしゃべりの余韻が続く中、メロウなグルーヴが流れ出すと、アレ? これは何だ? 33回転の吉川晃司? そうそう、緩音夕には固定スピードの概念も何もないのです。その妙な声にラップが乗ってきたら、いよいよニセ歌謡の真髄へと突入。このネタとこのネタがこう合わさるか? しかも有機的に繋がっているでは。グルーヴに心をまかせながら、心の奥ではアレっと唸り続けるしかない。そのプレイ・スタイルはいよいよ円熟の境地に入ってきたという感じだ。特に「サイキック・マジック」でリアルタイム体験者の笑いをとった後、そこに「かまっておんど」を絶妙のタイミングでかます所はほんとエクセレントとしか言い様がないです。一曲おいてさんまというのがまた.....和モノDJというより、ネタに開眼する全ての者を虜にしてやまないニセ歌謡スタイル、緩音夕を通して今後もより多くの末梢を刺激したいと思ってますが、フクダさんの文章紡ぎセンスも同等に素晴らしいと思ってるので、別の形で共闘できることも願ってやみません(もち、この場合はより多くの共謀者を必要とするのですが、そのためのソーシャルネットワーキングでもあるのですから......)
いよいよ終盤に突入、これも実に楽しみにしていたDJマツバラさんのセットである。彼も実は色々なコネクションにより相当前から認識していて、テキ小守の時も是非声をかけようと思っていたもののうっかりしていて忘れてしまい、そうこうしている間に某ゲームの音楽の話がB兄さんから持ち込まれ....自然とルル網コネクションに仲間入りという感じでした。これも2度目の打ち合わせの時、メモ帳に気ままに書いていただいた落書きが気に入って、そのまま緩音夕ビラに使用させていただき、その乗りで今回のあらすじページのために各種イメージ・イラストを提供しても頂きました(THX!)
さて、ジョン・ゾーン的スタイルによる各種ジャンルの坩堝というその選曲センス、いかに発揮されるか......と思ってたら色んな意味で意表突かれまくりです。「順不同」ながら曲目リストを見ただけで解るその脈拍のなさ。しかも「ここでこう繋ぐか」という驚愕のタイミング。それなのに何故か一体感があるんです。聴き手の心理の変化をグッド・ヴァイブへと転じてしまう潜在的テクニックがそこには潜んでいるのかもしれません。「チコタン」とかピアソラとか「ふたりの天使」みたいな意外なネタの挟み方にもやられたのですが、何と言っても少年隊のトークネタが受けたなぁ。
さて、この後はプリンス「アメリカ」の21分もある12インチ・ヴァージョンを流しながら、ユルユルのトークタイム。マイクの調子が良くなくあまりスムーズに進まなかったのは心残りでしたが、各回しやの自己主張も存分にあり非常に盛り上がりましたよ。戦慄のネタ「岩手わんこそば音頭」もついでに開帳、最後は"J*SR*C is F**king!"の絶叫で締めてしまいました。
いよいよラストのセットへ。実は一組、スペシャル回しやとして交渉していたチームとのコンタクトが途絶えてしまって、結局いつものように2セット頂く事になってしまったのだが、こちらのセットでは80年代というテーマを活かしつつより渋めの(?)選曲で攻めることになってしまいました。当然こっちは台本なし状態。まぁ上手く行ったからよかったけどね。
フル・フォースの曲はイントロからクイーンのネタをモロ使いしていて、今回の隠れ主役としてのクイーンの存在をさらに際立たせたという気がするが、続く「バット・ダンス」(ニセ)。これは既にここで語ってたネタであり、使うチャンスを得られてほんとよかった。虚しく「農協牛乳」シャウトをしてしまったな。アニソンに続いて洋楽フェイクも来るか? はてなでのアカウント名の出典でもある「ラジオ・サイレンス」は、米盤初版LP収録の「矢野顕子不参加ヴァージョン」をプレイ。「りりがみ」では大合唱が巻き起こりましたぜ! すっかり定番と化した「LAV」の韓国娘版に、同曲の嘔吐パンク版を繋ぎ、これでこの曲はむらかみさんの最初のと併せて3種類かかったことになるね。続いて80年代ペイズリー・アンダーグラウンド人脈によるカヴァーで、せめても前回までの3度の緩音夕皆勤賞だったザ・フーに敬意を表し(彼等の80年代の曲はネタになんないなぁ)、さらに伝説の『DEVOTEES ALBUM』の一曲をプレイ中に、お客さんとして来ていたレコゲバさんから泣ける話が.....ううっ。こんな展開になるんなら怖+長谷川光平の「はっぴいえんど」を用意しておくべきだった。気を取り直してさらなるバカパロディ、ビル・ラズウェル関連ということで挟んだフレッド・フリス、またまた登場のクイーンの音響系ナンバー(?)にバカ歌謡をミックス.....などで混沌の終盤へと向う。
となれば折角来てくれた恵比寿さんにまたYMFDJをやってもらうしかない.....ということで、わずかな時間を献上しました。自分的にも今回はネタを厳選したつもりだったので最後の方はちょっと行き詰まり気味だったんです.....ともあれ、泣かせるMCに続いてシブがき隊だ。これぞ緩音夕の真髄である。というわけで最後は世紀末への希望(!?!?)を託しつつプリンス「1999」でグルーヴしまくり、といってもアノニマスなんぞを混ぜてしまって危ない展開は忘れなかった。
「信じられないよ.....でも終るんだよ、サウンドストリート.....」教授サンストの最終回の最後で流れたこのネタと、これも恒例となった「グッド・ナイト」(今回はモーグ・ビートルズなる訳のわかんないヴァージョンを使用)でこのエキサイティングな夕べは幕を閉じました。来ていただいた皆様、どうもありがとうございます。回しやの皆様、お疲れ様でした! またいつか、日本の何処かの好き者のために戻ってきます。その時はよろしく.......
※なお今回の記事作成にあたり、一部回しやの名義がある悟りの結果により変更になっておりますが、その点をご了承下さい。
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