気ままな語り倒し過去記録。
Case 29:
久々に3枚チョイスして語るという形式に復帰します。これとは別に「楽しい消費生活」という、ひとりよがりな購入メモみたいなコンテンツも始めたのですが、こちらはあくまでもメモということで。コメントも10行を越すことはないでしょう。まじで語りたくなったらこっちのメインに持っていくという。
これとは別に、過去H45/ルル網で語ったアルバムの中から、これは決して葬られてはいけないと思うものを選んで、スクラップ・コーナーに再アップという計画も進行中。何せ、「語り継がれるべき名(時に迷)盤を」ですからねっ。捨てちゃうには惜しい作品いっぱいあるし、それらが手に入り易い環境にある限りは(いくつかは捨て値コーナーに回っちゃったりもしているし)、我が見解も捨てずにおかないとと悟ったわけで。と同時に、新譜なくても新ネタはあるさと不特定多数及び自分に忠告し続けたいということでして。
まぁとにかく、去年12月に大量捕獲したネタの中に、ちょっと書き留めねばと判断したものがいくつかあるので、忘れずにここに記すことで本年度の豆頁の穴はスタートです。

1. LOVE/FOUR SAIL
(Elektra [GER] 8122 73640-2 69年作品; 2002年再発売)
エレクトラ/ライノによるラヴのリマスター/リイシュー・シリーズも、この4枚目のアルバムでついに完結。いや、これは出るとは思わなかったので意外に嬉しい。何せ、エレクトラのレーベルを使ってリイシューされるのって、LP時代も含めて初めての事だろう。私が持っていたのはイギリスのサンダーボルト・レーベルから出たリイシューLPで、ジャケの画像はコピー臭いし、音の方も不鮮明。同レーベルはカンのメンバーが一切認めていないアルバム"Out Of Reach"を唯一リイシューした会社という事実も絡んで、このアルバムはラヴにとって不本意なものではないかというイメージがついて回っていた。
しかしフタをあけてびっくり。3曲のボーナス・トラックを含み、しかも服役を終えてシャバに戻ってきたアーサー・リーによる談話("Always See Your Face"が流れた映画「ハイ・フィデリティ」にも言及されている!)も盛り沢山のライナーまでついていると来た。まさか、自分が獄中にいる間にこんな充実したリイシューが進んでいたなんて思ってなかっただろう。残念なことに相棒ブライアン・マックリーンの死も起こってしまったわけであるが。
で、このアルバムは、ブライアンをはじめとするアーサー以外のメンバーが総入れ替えとなって制作された初めての作品であると同時に、エレクトラとの契約満了のため提出されたアルバムでもある。総数27曲が録音されたセッションからは2枚組が作られるという話もあったが、結局10曲がエレクトラの手に渡り、残る17曲は次なる契約先、ブルー・サムからの第一弾"Out Here"で世に出たわけである。以前ラヴの特集をルル網でまとめた時は、「契約満了にしてはかっちりした構成の作品」と記したのだが、それもそのはず、ジャック・ホルツマンが優先的にこれら10曲を押え、しかもエコーを加えてリミックスしてこのアルバムにまとめてしまったのだという。なるほど、"Out Here"のルーズかつ成り行き次第な出来に比べると(それはそれで好きだが)、このアルバムのまとまりの良さも納得である。その辺はアーサーにとって不本意だったかもしれないが。
いずれにせよ、全体的にモコモコとした音質はしょうがなく、特にリイシューLPではエコー成分が不必要に歪んでいたりしたが、このリマスター盤では幾分改善されている。ドタバタしたドラムとか、何曲かで強調されるやる気のなさは仕方ないとしても、アーサーの魂の歌が前作、名盤『フォーエヴァー・チェンジズ』と異なったストレートな方向へと屈折してみせた曲の数々は、今なお眩しい光を放っている。なお、2枚組ベスト『ラヴ・ストーリー』に入っているこのアルバムの曲6曲は、ジャックにより手を加えられる前のオリジナル・ミックス・ヴァージョンとのこと。ヴェルヴェットのサードに極めて近いケースではあるが、どっちがいいかってのはリスナーが決めることだし、あまり気にしないことにしよう。そのベストに入らなかった4曲の内の一つ"Talking In My Sleep"の未発表オリジナル・ミックスがここでボーナス・トラックとして聴けるが、確かに不自然に音が歪んでいて使えなかったのも納得。あと2曲のボーナスは既に何らかの形でCD化されている別ミックス・ヴァージョンだ。ともあれ、これでエレクトラ時代のリイシューは完結。ゲッセマネの幻はやはり幻だったというわけだ。

2. THE MUSIC EXPLOSION/LITTLE BIT O' SOUL
(Sundazed SC-11119 1966〜68年録音;2002年発売)
1910フルーツガム・カンパニー、オハイオ・エクスプレスと共にバブルガム三羽烏を構成するグループといえば、レモン・パイパーズ.....と言いたいところだが、厳密に言えば同じブッダ所属でもL.P.はどっちかといえばサイケ・ポップ寄りのサウンドが売り物だし、第一カセネッツ=キャッツがプロデュースしていなかった。というわけでやはりこの称号に相応しいのはこのCDの主人公、ミュージック・エクスプロージョン。彼等がローリーに残した唯一のアルバムにシングル・オンリーの曲を抜粋して追加した決定的ベスト・コレクションの登場だ。以前にもレパトワや他のレーベルから彼等のCDは出ていたが、今回はサンデイズドということで。この商号にひれ伏さずしてどうしろというのだ。
メジャー・デビュー・シングルにして全米第2位を記録したビッグ・ヒットとなったタイトル曲は、バブルガムのプロトタイプでありつつキャッチーなビート・ポップの見本というべき名曲。後にヒップホップでもサンプリングされまくったシンプルなギター・リフ一発で決まりだが、意外と侮れないのがソウルフルなリード・ヴォーカル。ラスト近くのタム3連発が隠れた痺れポイント。これをひな形として、カセネッツ=キャッツのヤミーでチュウイな大進撃がスタートする。が、このシングルのヒットを受けて急造されたアルバムが、全編ガレージ・テイスト溢れた隠れ逸品。プロデュースされていない彼等本来の持ち味がめいっぱい展開されている。それにしても可笑しいのが"One Potato Two"。これはあの名曲"Little Black Egg"そのものではないか! 彼等自身、実質的デビュー曲としてこの曲を録音しており、ボーナス・トラック部分のオープニングとして収録されているが、カラオケ等全く同一である。なのにクレジットはプロデューサー、エリオット・チプラット作となっていて、これもまたK&Kのせこいやり口だなと妙に感心してしまう。そのボーナス・トラックは全部で12曲収録されていて、シングルA面曲では様々に表情を変えつつ、ガレージからバブルガムへと脱皮(?)するグループの苦悩が記録されている。中でも大ポップな"We Gotta Go Home"とキュートな"Yes Sir"(オハイオ・エクスプレスのアルバムにも、同一カラオケを使った彼等のヴァージョンが収録されている)がNice。一方、バブルガムの定番となった手抜きB面ライブラリーからも、3曲が選ばれているのが嬉しい。彼等が演奏しているのかというと疑問であるが....いずれもブッダ群のB面に比べると、ほんのりアシッド風味が漂っているのが興味深い(が、"Road Runner"は案の定オハイオ・エクスプレスのB面"Make Love Not War"として再利用された。これだからK&Kは.......)
リード・シンガーのジェイミー・ライオンズがソロとして録音したシングル曲も入れて欲しかったなど、欲を言えばきりがないが、メンバーの談話もばっちり載ってることだし、まずは万歳だ。あとはローリー・レーベルに残された数々のサイケ・シングルの逸品のコンピ化とかを期待したいのであるが........

3. V.A./鏡・花・水・月
(ポニーキャニオン PCCA-1828 2002年12月18日発売)
ありがちなコンピと思わせといてなかなか侮れないアイテムの登場。要するに、現在女優として活躍中の人達が歌手として残した作品をまとめたもの。当然ポニーキャニオンのネタばかりと思いきや、何故か一曲目は観月ありさ「伝説の少女」(コロムビア提供)。さすがにこれは違和感ありまくるが、以下ははっとするようなネタも含めてバラエティに富んだ配列。これらをトレンディ女優が歌うコレクションとして一まとめにするのは確かにきついが、こうでもしないと葬られてしまうと思われる名曲もいくつかあって、決して無駄にできない。何せ私にとっては松たか子「明日、春が来たら」と並列に語れる名曲、竹内結子「ただ風は吹くから」が入っている! シングルはこの一枚残したのみだが、まじもったいないと思う。悪声だなと思ってた木村佳乃も改めて聴くととても良いが、これを倍速でかけるとglobeになるのでは? ネタ度100%の江角マキコ「One Way Drive」もアルバム化されたが、歌唱的によりずっこけるのが京野ことみ「NOW!」。ショムニ繋がりなんだろうけど、この配列はトホホもの。ちなみにこの曲ってアニメ絡みじゃなかったっけ。終盤に行くにつれて真っ当な展開になっていくが(人材的にはネタすぎの羽野晶紀も、ここでの曲は実に真面目)、さすがに原田知世「時をかける少女」はもう単純に胸キュンものです。これを最後に持ってくるとは。あとはエンクミの幻のデビュー曲とか藤田朋子とか入ってればと思ったが、それじゃトレンディ度が激減するか。こういう視点のコンピは東芝が作ってもいいものできるんじゃないかと思った。しかし発売年度位は入れとけって! 深キョンと知世の曲の間には16年もギャップあるんだぞ。

(2003年1月14日)
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