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気ままな語り倒し過去記録。
Case 28:
2002年度・私の選ぶ同時代流行歌もしくはネタ10曲 (後編)
2002年度ネタ総括企画、その後編。前編は
こちら
。
5.
ぴちょんくん/もーどーにでもしてー
2002年6月26日発売/ユニバーサル UMCK-5068
2002年は「キャラ系ネタ王国」だったことは先に書いたが、その中でも極北と言うべきものがこの曲。意外にもチャートではかなり好成績を残した。やはり「癒し系」だったのが物を言ったのか? キャラ系といってもゲームでもアニメでもない、ダイキンのエアコンのCMに登場したキャラ。水滴ってのはほのかで哀愁である。暑い夏においては安らぎをもたらすファクターでありつつ、無意識に虐げられてしまう可哀想な奴らである。そんな水滴の哲学をあっさりとボサノヴァに託してしまうこの曲、歌詞だけ読めば演歌並にどろどろ。そんなパラドキシカルな所が受けた所以なのかもしれません。爽やかな無常感ってのは2002年の空気そのものだと思う。
これも我がクロニクル仕事の話になってしまうが、2002年には『東京ボサノヴァ・ラウンジ』というコンピが出たし、他のレーベルからも和製ボサのコンピが出たりして、ボサノヴァの人気ってのは全く衰える気配を知らない。ただその革新性にまで気が配られているかというと疑問である。雰囲気ものではあるが、裏には音楽家の主張やら他のどろどろしたものが沢山込められている。ライナーでも書いたけど、欧米でボサノヴァ風アプローチをした曲に自虐的・皮肉的な曲が多いってのは何となく納得。それを考えると、この「もーどーにでもしてー」は正に王道ではないかと感動したりして。カップリング曲なし、カラオケと2曲でレギュラー・プライスというのはちょっときついけど。もう一枚同種のものが後で出てくる。
4.
辰田さやか/恋人のように
2001年10月20日発売/コロムビア COCA-15412
2002年は消費者金融機関CMの是否が大きく問われた年でもあった。昔は深夜番組見てたら繰り返し流れててヤになった類いのCMが、今では一日中堂々と。そんな状況だから金銭感覚が麻痺するんだと随所で激論が飛び交った。しかしネタ界はお構いなし。あの
「シンクロナイズド・ラヴ」
という永遠のネタ・クラシックの存在は言わずもがな。あの曲が流れるとどんな時でもあの姉ちゃん達が脳内を乱舞するわけである。
それに続いてこの辰田さやか。消費者金融機関CMが生んだアイドルである。未だに「どこのアイフルに行くと彼女に会えるのですか?」という問い合わせが後を断たないらしいが、実は本人は歌手が本望なのであった。そしてちゃんとこのアイフル・イメージ・ソングでCDデビューしたわけである。ネタだと奮い立って買ったら、本人があまりにも丁寧に歌っているその内容にまず違和感が。あの素人くささが良かったのになぁ。歌手しちゃってるんだもんなぁ。
しかし、CMが「どうする? アイフル!」に切り替わってから、急激にこの曲が愛しくなってしまったんだから妙なものである。いや、あのソフトロックの権化サイトで、この曲が音楽的に好評価されていたという動きもあったのだが。よく聴くと安堵感がいっぱいの歌声だ。と同時に楽曲の方も魅力的だなぁと思えるようになる。何たって杉真理だもの。2002年はあのSAYAKA出演のCMへの曲提供で話題になったが(やはりナイアガラ繋がりが想起されたもんなぁ)、この曲も忘れてはいけません。こっちの「さやか」もね。いずれにせよ、自分のネタジュークボックスの中での安らぎスポットに居座る一曲である。アルバム早く出してほしいなぁ。
3.
平山 綾/来て来てあたし
ン
ち;
みかん(折笠富美子)/「カラオケ天国」
2002年7月24日発売/キング KICM-3034
94年読売新聞日曜版で連載が開始されたけらえいこ原作「あたしンち」は、2002年4月遂にTVアニメ化されて放映開始。実はこのTV版「あたしンち」こそ、2002年度我が最大の新発見というべきものである。思ってみれば自分が初めて「サザエさん」に深入りしたのも、1984年夏の事だったのだから(それまでの日曜6時台は、当然石田豊氏のFM番組。小学生時代からね!)、状況的にも通じていたのかもね。
「サザエさん」にはない同時代の日常感がより人情を目覚めさせてくれる、そんなアニメである。このお母さんの強烈な存在感。まさかと思いつつも「やっぱり、周りにこんな人いないわけないんだろうな」と納得してしまう。クールなユズヒコもシュールな父も憎めないキャラで、傍役も曲者ぞろい。日常的なアニメと思わせておきながら、ユズヒコが見てるビデオが「イレイザーヘッド」だったりと、細かいくすぐりにもニヤリなのである。2ちゃんのAAに触発されたと思しき絵が出てきて大騒ぎにもなったっけ。いつのまにか、ビデオに録ってまで見るのが金曜夜の日常となってしまった。
そんなアニメ版の存在を知る前に、このEDテーマの存在を知ってしまったというのも、何か妙なのであるが。とにかくジャケの絵を見たとたん「このアニメは何かあるな」と思った自分である。さらに情報によると、この曲はエルガーの「威風堂々」のカヴァーであると。私の世代にはベイ・シティ・ローラーズの公演のオープニングで流れ、「ローラーズよ永遠に」としてシングル発売もされた曲とのイメージが大きいが、他にもザ・フーのヴァージョンがあったり、最近では「オースティン・パワーズ・ゴールドメンバー」でも流れてたりと、誰でも知っているクラシック曲とのイメージが大きい。そんな曲をラップ交じりで軽快に。最初はラップ部分に違和感ありまくりだったけど。このさりげない描写ぶりは、ビーチ・ボーイズの「ビジー・ドゥーイン・ナッシン」の影響か? と思いつつ楽しんで聴けるようになった。歌ってる平山綾はアイドルとしてもうおなじみ。所属のホリプロにはいろいろと小言ある(特に
某会社が絡んだリイシュー
に関して)けど、
とにかくCCCD否定派であるという点では応援したい存在(唐沢美帆のCD、フライトマスターにしては異例の非CCCDにしてるし)
。蛇足ながらクラシックのカヴァーという観点からすると、「亜麻色」CMの後釜となった小柳ゆきの「Lovin' You」があまりヒットしなかったのはとても残念。まぁ、ヒットしたらアラン・シャーマンのベストCD国内盤(訳詞付き)でも出るかなと変な期待が先走っていたわけであるが。
しかしこのシングルの焦点はカップリング曲「カラオケ天国」に他ならない。そしてこの曲こそ、
私にとって2002年レコード大賞があるならあげなければいけない
、そんな一曲である。
歌っているのはタチバナ家の長女・みかんである。厳密にはその声優、折笠富美子である。XTCの「ウェイク・アップ」かと思わせるギターの左右時間差カッティングからイントロのシャウトへ、そして疾走感溢れるハイBPMのロックンロールに突入。感情移入の激しいみかんの歌声に惚れ惚れしつつ脳内モッシュが継続。これほどの爽快感に溢れた曲にお耳にかかったのは一体いつ以来だろう。カラオケをテーマにしながら、パラドックスの極みとしか思えないハードな曲調であるというのが余計愛しさを高めている。何はともあれ"Put On" (まやかしという意味もある)だ! 途中のギター・ソロ、みかんの悪友しみちゃんが弾いているというシチュエーションがまた素晴らしい。まるでレイ・デイヴィスの「Oh, Come On!」に隠れてさり気なく聞こえる弟デイヴの愚痴を連想させる声は、どう考えてもしみちゃんの声優のものではないのが謎だが......。こうして2分48秒があっという間に過ぎてしまう。もう最高! 何回聴いたことか。これで私はみかん萌えの仲間入りしました。幸い、折笠さん萌えには至っていないが......。
そう、アニメ声優ものもネタとして決して外せないファクターなんだ。特にばや兄さんからその事を教えまくられました。どうもありがとうございます。今後アニメ界にCCCDが増えたら、こんなはまり方もできなくなるんだろうなぁ。
2.
釈 由美子/釈お酌
2002年10月23日発売/ポリスター PSCR-6076
一番よく聴いた曲こそ「カラオケ天国」だが、ネタ度という点ではそれを遥かに凌ぐ、最重要曲の登場である。これも厳密に言えば「キャラ系」だが、実在のアイドルがモデルとなっているという点で特殊である。バンダイから発売されている、
癒し系お酌ロボット「釈お酌」
のイメージ・ソングを、そのモデルである釈由美子が自ら歌っているというブツ。商品の発売キャンペーンが行われた時に既に曲ができていて、ちょっと聴いただけで「凄いネタだ!」と感動しつつCD発売を待ったわけだが、ほんと期待を裏切らなかった。
写真集を発売するとめちゃ売れする、ふんにゃかキャラ故に万人に愛されるアイドル釈由美子であるが、ネタ供給元としても一級品だ。このロボットだけではなく、FOXビデオの「プリティ・ピンキー」キャンペーンに、和製ピンキーとして登場。「メリーに首ったけ」のキャメロン・ディアス他に並んで愛想を振りまく図はネタ度満点だった。レコード業界もそんな彼女を放っておくわけがなく、過去3年間にメディアリングからシングル2枚とアルバム1枚(といってもシングル曲と別ミックスを集めただけのもの)、ゼティマからシングル1枚がリリースされている(映像作品は多数あり、把握しきれていない)。初期の頃は菊池桃子を連想させる頼り無い歌声がアイドル・ファン心理をくすぐりまくっていたが、いよいよこの「釈お酌」で大脱皮ということになる。頼り無さよりも勢いに重点が置かれた奔放な歌唱スタイルで曲に活気を与えているのだ。そして本人による作詞という点もやる気が現れていてよろしい。壊れた森高千里のようなパースペクティヴが、疲れ切った大和民族の騒ぎたい魂を揺り動かしてくれる。しかし全ての結論は豪快すぎるサビ部分に集約されてしまう。これだけ自分の名、いや名字を連呼して嫌味を感じさせない、歌ってる側も嫌味を感じない曲ってそうあるものではない。気が付いてみると「しゃくしゃくしゃくしゃくお酌〜」と歌わずにいられない自分がいる。偉いよ。近田春夫氏の「考えるヒット」で取り上げられたというのにも思わず納得。
ジャケットも突っ込みポイント満載。本人がCMに登場する飲料水「MIU」もさりげなくカメオ出演しているし(ちなみにこの「MIU」の初代CM=名作!=に出演していたのが、あの片瀬那奈である)、裏面に掲載されている振り付けの見出しは「
L
et's
S
haku
D
ance!!」。それも各大文字を強調して書いてある! やはりシラフじゃ理解できないと、そういうわけね。でもいいじゃん。唯一残念なのは「もーどーにでもしてー」同様1曲+カラオケでレギュラー・プライスという点だ。釈ちゃんらしく遊びまくった別ミックスとか入れてくれればいいのに。ともあれ、2002年はシーズン開幕当初の阪神好調(&本人復帰)に乗って迷盤
「オマリーの六甲おろし」再プレス
を敢行し、その勢いがさらにこの曲を産んだポリスターの生き残りに拍手した一年だった。トラットリアがなくなって、どうなるかと思ったもんね一時。これに比べると、片瀬那奈の「GALAXY」なんてねぇ〜(CCCDだし!)
さぁ、「釈お酌」の登場で決まりと思われたネタ大賞だったが、終ってみればやはりこれ。これしかなかったのでした我が2002年は。大願成就おねがいよ〜!!!
1.
藤原彩代/おさい銭
2002年2月21日発売/ガウス GRDE-81
2002年は「演歌もいいな」と再び認識した一年でもあった。氷川きよし人気で再び盛り上がっているような錯覚を与えてはいるが、実際は演歌以外の邦楽が相当落ち込んでいるだけで、演歌界自体は何ら激動してはいない。それどころか氷川以降これといった新人が台頭していないのも事実。レコード会社も半ばあきらめているのか。それでもなお、私的には島津亜矢や水森かおりの歌心に素直にやられたりしているわけで、やはり歳には勝てないのかなと愚痴ったりして。いや、そんな事は言っちゃいけない。元々歌謡曲好きなんだしねぇ。
そんな日常に突如飛び込んできたのがこの「おさい銭」という曲だった。日曜日の朝何気なくテレビを見ていたら、何なのだこれはという事態に。曲そのものよりも絵の方にまず目を奪われた。演歌というには気軽な雰囲気の歌手の横で、
二人の女の子が奔放な振り付けで乱舞
している。曲が進むにつれてBPMが早くなり、踊りのボルテージもアップ。本当何なんだ? 番組の方は典型的な演歌PV紹介番組だったのだが、歌い手のキャラにも速攻魅了された。これは手に入れなければ。しかし普段よく行ってるレコ屋にあるわけがなく(奉仕先でも当然、あまり見ないし)、浅草の「宮田レコード」まで遠征してやっと入手。ほんといい店ですよあそこは。
しかし気軽な形容を許さない深い一曲なのだ、この「おさい銭」。まず音楽的には演歌の王道では絶対ないと思う。こぶし回して人情爆発とはほど遠いボーカル、メロディもライトで非常に歌い易い。そして歌詞の方も。恋する女の心の荒みはこんなものじゃないけど、あえてこんなものへと濃縮還元してみせたタッチがまったく嫌味ない。「恋人のように」で女心の暖かさに気付いたあと、この曲でその本心を笑い飛ばすことだってできるのだ。そこがど演歌や最近のJ-POPと一線を画していて爽快そのもの。いいじゃないか。イントロなしで「大願成就おねがいよ!」のシャウトから間髪入れず歌に入るオープニングからBPM上げまくりのエンディングまで飽きさせない一曲だ。五円玉を模したCD盤面もナイス。やはり映像も欲しい....という向きには、クラウンから4曲入りのカラオケLDも発売されているのでそちらで(しかしLDってのもカラオケ以外需要なくなって残念だよなぁ)
ちなみにこの曲からは千葉テレビの帯番組「おさい銭」も生まれているが、残念ながら12月30日で一時休止となっている。エレキ・ギター・フリークという意外な一面を持っている藤原彩代さんにはもっともっとこの曲で粘ってほしいと思いますほんと。
最後に一言。「おさい銭」「釈お酌」「恋人のように」に共通するものといえば、歌詞に「携帯」が登場することである。近頃の不況の中で携帯電話代だけは別腹というイメージがあるのは確かだが、まさか自分でもそれを痛感することになるとは思わなかったです。ある時期を境にね......というわけで今年はもっと自分に対して積極性を持たないとね。などと言いつつ、さらなるネタ出現に期待しています。むかしのひとはさようなら! はいっ!
(2003年1月3日)
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