気ままな語り倒し過去記録。
Case 27:
お待たせしました。相当前から予告していた2002年度ネタ総括企画です。
これも散々書いたけど、2002年に関して言えば「今年のマイ・ベスト・アルバム」みたいな括り方をする気が全く無くて。その理由は、これも前書いた通り、回顧その他の行為をすることこそ自分におけるその年の存在を永遠に刻印することであり、2002年に関してはそれがたまらなく苦痛であると、ただそれだけで。webにアップすることによって痛みを他人と共有したくないのです。とりあえず、私にとって最も衝撃的な、もしくは重要な一枚(いや、一箱)に対する意見はアップ済なのですが、その後は一切フォローしたくありません。といってもその理由はごく個人的なものなので敢えて書かないでおきますが。各自勝手に推測して下さい(但し、秘密裡にね)
洋楽の新作を2枚しか買わなかったってのも他で書きましたが、Case 15にまとめた前半のものは言うに及ばず、後半だってジョージの『ブレインウォッシュド』という超重要作があったし、邦楽のリイシューに関しては後半の方が勢いがあったと思う。無論邦楽の新作も特にインディものに快作が相次いだし。しかしいざ選ぶとなると様々な思いが邪魔してしまい、上手い具合に進まない。そんな私が敢えて、「ネタ曲部門」だけ10曲列記したくなったか。それはやはり、2002年がまじで、流通商品としての音楽にとって一つの黙示録となったからではないか。そう、商品至上主義にまみれて、ふと振り返ると、こんな風に世相を映し出した曲もあったんだという。これから先、我々がこういう風に同時代音楽に接することができるか、ほんと心配である。だからこそ、使える曲としての「ネタ」ベスト10なのである。無論、笑い飛ばすための変な曲といった意味で「ネタ」と言っているわけではない。このベスト10には、音楽的に「バラード」と呼べるものが最低でも3曲は入っているし。でも今後、嫌な事しかなかったこの2002年を振り返ってみる時、そこにあるとふと微笑みをもたらしてくれるのではないかと思われる(ま、1曲を除いて、ですが)曲が並んだとは思っている。規定として、2002年にメジャー流通会社からデジタル・オーディオCDでリリースされたシングル新曲に限定しようと思ったが、どうしても2001年発売のもの幾つかが外せなかったため、2001年10月以降発売ということにさせて頂いた。レコ大だって本来は前年10月から1年間の発売ってのが対象なんだからね。2002年のはルール違反が多すぎだったよ。その末のあゆ受賞だもんな。呆れずにいられない。
本題に入る前に、2002年ネタ検証をする際に決して外してはならない曲が4曲あるということを言っておかねば。その内2曲についてはメイン部分で触れるとして、残るは島谷ひとみ「亜麻色の髪の乙女」平井堅「大きな古時計」。両方ともカヴァー曲という、好き者そそり領域をかすった曲であることは言うまでもない。特に前者はまじでベスト10に入れたかった。その理由は、この曲がヴィレッジ・シンガーズのカヴァーであり、2002年のGS界(あるのか?)を多少賑やかにするのに役立ったとかそういうことではない。あの井出メンバーの存在に依る所が全てである。島谷がこれを歌う以前から清水道夫(贋)を語ってたというのはまじで怪しいが、少なくとも8月以降は彼をまねて「亜麻色の〜」と口づさむ香具師が増えたのではないかと推測できる。そしてまた、2002年一年を通してカラオケで最も歌われたというファクターの手助けにもなったに違いない。若いコの前でこれを歌うと受けると語る管理職クラスが、随所に続出したもんなぁ。デビュー曲が企画ものの演歌で、以後ジャネット・ジャクソンのカヴァーなどをやりながらこの一曲で全国区となった島谷ひとみ(私的には彼女の名前、18年前の夏のトラウマを想起させるファクターに似すぎているというのが引っ掛かるが.....)を平成の高田みづえと捉える意見も少なくない。で、何故この曲が外れたかというと.......先程述べた規定に反しているからに他ならない。そう、CCCDだから(爆)
「大きな古時計」に関しては特に触れるようなことはないが、テレビでクレジットを見て「編曲・亀田誠治」になっていたのに驚いた。実は同じアレンジャーが手掛けた「大きな古時計」のカヴァーが過去に一つあって、それがネタ度200%の迷盤、西村雅彦の『DECO』(ポニーキャニオン、96年発売)に収録されていたというのが大きなポイント。この作品に関しては語っても語り尽くせない魅力があるが、まず「ネタ度高い俳優物」「ネタ度高いカヴァー」(言うまでもない、キング・クリムゾン「21世紀のスキッツォイド・マン」のカヴァーが収録されている!)という概念を自分の中に植え付けた一枚であるということで、そんなわけで平井堅も強引にネタ仲間に。いや、今後は童謡のカヴァーというのも一つのポイントになるってのは、間違いないですよ。ビートサウンド・クラブ(アルバム『赤盤』(コロムビア、94年発売)には「レット・イット・ビー」風にアレンジされた「古時計」が入っている)の復活にも期待!
それでは長らくお待たせしました、本題にいきましょう。
10.
Ikuko/コーヒーをいれたから
2002年2月27日発売/ウェブクウ WKCL-2001
2002年は『CMソング・グレイテスト・ヒッツ』『小林亜星CMソング・アンソロジー』という二つのCMソング作品集の仕事に関わることができたが、CMソングこそ時代を映す鏡であり、それ故に速効性の強い「ネタ」である。まぁ作者の名も顔も見えない隠れ名曲を意識せずに沢山聴いた気がする傍ら、既成の名曲との遭遇も頻繁にあった(スタイル・カウンシルの「シャウト・トゥ・ザ・トップ」みたいな憤慨するしかないものから、アメリカン・ブリードの「ベンド・ミー・シェイプ・ミー」みたいなニヤリものまで例もいろいろ)。でもやはり印象的なオリジナル新曲がCDで発売されてしまうと、これは使える!となってついつい手が伸びてしまうのである。一昨年の「さわやか革命」で「ごめんね。」をかけた時、まじで実感したもの。
2002年、そんな意味で印象が大きかった曲は、吉幾三の「ドリーム」ささきいさおの「どキレイダーのテーマ」である。前者は大瀧詠一御大にまでそのネタ度を賞賛され、最早「殿堂入り」している感があるし、後者のCDはまさに好き者のために好き者が作ったという感じの憎めないブツであるが、最後の最後でベスト10入りを逃れた。で、結局これを選んでしまったのは何故かというと、意外に語る者がいないからなんだよね。
もちろんあのキーコーヒー(伏せずにいきます。リスペクトの意をこめて!)のコマーシャルとして、万人の耳に入りまくりの曲なのであるが。私にとってはCMでも流れる歌に入る前の4小節のイントロが、重要なネタ・ファクターである。他愛無いピアノのコード弾きで、単純なリズムであるのだが、それが余計に日常感をエスカレートさせる。CDをプレイして、最初にこれが聴こえてくるとまじたまらないですね。CMでは「みんな」の歌詞の所で聴けなくなってしまうが、その後の展開も淡々と安らぎ系でいい感じである。さりげなくも盛り上がっていくアレンジも効果的。CDエクストラではプロモーション・ビデオも見ることができるが、Mac不対応(!!!)につき未だ見ていない。このレーベルは例の石原プロ新人歌手オーディションに伴い設立されたもので、東芝によりディストリビューションされているが、このままでは沈んでしまいそう。そのためにも、この曲にはもう少しがんばって欲しいものである。
9.
ベッキー/伝説のスタフィー
2002年9月4日発売/東芝 TOCT-4413
2002年のネタ・ソング界を象徴した動きの一つに「ゲーム・キャラ系」というのがあった。きっかけは前年12月にリリースされ大ヒットを記録したストロベリー・フラワーの「愛のうた」(「ピクミン」CMソング)だったのだが、これが売れた当時は歌ってる人に関して騒ぎすぎたものの、その後急激に勢いが落ちていったという気がする。何はともあれその後「どこでもいっしょ」のトロのイメージ・ソングから「お茶犬のうた」までこの手のものは結構リリースされていた。その多くが音楽的には「安らぎ系」であったのもまた面白い現象だったと思う。もちろんあの国民的アイドル「タマちゃん」に関しても、本人(?)の意志と離れたところで2種類のイメージ・ソングがリリースされている。早く買わないと後悔するかもと思いつつ、まだ買ってません(泣)。
で、ここに登場するネタだが、これは「ピクミン」に続く任天堂のキャラ系ゲームとして期待された「伝説のスタフィー」のテーマソング。CMで曲が流れた時からハッと思っていたが、同時に歌手のベッキーの方もネタ度高い人として認識していた。不思議系でかつスマートという妙なキャラの持ち主は、そんな沢山いるものではない。元々テレ東でやっていた街紹介番組のスポンサーのイメージ・キャラクターとして認識していたが、いつの間にかお茶の間で幅広く活躍する存在になっていた。でも、CD出てるんだからもっと騒がれて欲しいよな。不思議キャラに良く似合う妙なメロディーをフィーリングたっぷりに歌いこなす。所々入れる合いの手もとてもキュート。カップリング曲「BOYFRIEND'S ROOKIE」もラップ混じりで妙キャラ炸裂のナイス・チューン。ちょっと前のエンクミに通じているが、グルーヴ感は雲泥の差である。この後、エレカシでおなじみのフェイス・レーベル(同じ東芝内ではあるが)に移籍し、2枚目のシングル「さらら」をリリースしている。(私は未チェック)
8.
筧 利夫・藤谷美和子/シャバダ ダバダ
2001年10月24日発売/ソニー・ミュージックハウス MHCL-47
これだけは他の9つのネタと毛色も意味合いも違い過ぎるのだが、どうしても選んでおかないと忘れ去られると思い入れておいた。大体この曲だけ新品CDで入手していない。某中古CD店で、大場久美子『なんてったってアイドルポップ』を奇跡的に見つけた時、ついでに入手したのがこれ。しかもサンプル盤のシールが貼ってあるし(ごめん! ごめん!! ごめん!!!)
そのクーミンのCDを手に入れるちょっと前、自分の精神状態が2002年で2番目位に荒れていた時期に、たまたま入った靴屋さんでこの曲が流れていた。荒れていた精神状態を余計荒らす勢いで続くダメ男のアジテーション。憤慨しながらも自分にも幾つかあてはまるなと心臓をずきずき突かれた思いがした。と同時に、気が滅入っている時には『ペット・サウンズ』しか聴かなくなるという我がセンチな価値観を見事蹴散らしてくれたのである。そんな罪な曲を歌ってたのは、プッツン女優にして紅白出場を果たした歌手でもある藤谷美和子、そして2.75枚目が様になる男・筧利夫である。普段再発ものだけを出しているソニー・ミュージック・ハウスには珍しい新曲シングルだ。
クレジットを見ると作詞・秋元康である。キャリアを総括するボックス・セットが出たり、おニャン子クラブの再結成に関わったりと、久々にこの人の名前がクローズアップされたのも2002年だった。80年代をリアルタイムで通り抜けた自分にとって、この人の存在をヒップなものとして捉えるにはまだまだ違和感があるが、時代に敏感とかそういうのとは別に、人の心の内を過剰に描写すると大変なことをしでかすという存在は絶対憎めないのである。そんな秋元氏の真骨頂として、伊武雅刀の「子供達を責めないで」(83年)が挙げられるが、要するにその曲と中村晃子・細川俊之の「あまい囁き」(73年)が異種格闘してじゅるじゅるになったのがこの「シャバダ ダバダ」である。ひたむきかつ愛想ない藤谷に構いもせず我が道を行く筧が提示するもの、それは己の「ネタ度」に他ならないのだ。この世の中にこんなアンチ・ラヴ・ソングが一曲や二曲なければ浄化はまだまだ遠いよなぁ。はい。「王様のアイディア」にはお世話になりまくりましたとも、遠距時代! 何が「あいのり」だよっ!
7.
おにぎりにぎり隊/
おにぎりにぎりたい;おにぎり物語

2001年12月5日発売/エイベックス AVCD-30319
コピーコントロールCDの「言い出しっぺ」として、ほぼ全ての良心的音楽ファンを敵に回したと言っても過言ではない2002年のエイベックス。反CCCD派としてはどうしても良心的音楽ファンの言い分に加勢したくなってしまうが、何やかんや言ったってエイベックスは「上等なネタ供給源」でもあることを忘れてはいけない。そりゃー小室全盛期は完全無視してましたけど、あの時期にさえ今振り返ってみればその急造B級さ加減が非常に愛しくなるアイテムが結構ありましたとも。まぁ、大型量販中古CD店で8cmシングルが50円でいつでも買えるという先入観があるかぎり、まともに回顧してみようとは思わないんですけどね。なんて言いつつ、2枚しか出ていないはずの森ひろこのシングルを3枚持っていたりする自分でありますが。(ちなみに彼女の所属する新ユニット、R.C.T.のアイテムは、DVDシングルという形でしかリリースされていなかったりする)
さてこの「おにぎりにぎり隊」は、無害なネタ供給元としてのエイベックスの最後のもがきを提示してみせた隠れた逸品。何せネーミング自体がネタ度満点だ。調べてみると、90年代の初頭に「初代おにぎりにぎり隊」が存在したらしく、この3人は2代目とのこと。いずれにせよ、あのエンクミ出演名作CMで存在感をアピールした「ごはん食推進委員会」のマスコットともなれば、期待せずにはいられない。曲の方も「おにぎりにぎりたい」。「うしろ髪ひかれ隊」かよ? というわけで気になるアイテムの仲間入りしましたが、実際物を買ったのは某ショップの「アウトレット・コーナー」で半額投げ売りされているまで待った末であった。すんません&ありがとう。曲の方は典型的エイベックス・サウンドと一線を隠した正統派アイドル・ポップスで、そこに「ごはん大好き」な歌詞である。素敵。パスタに感動する乙女も最後に行き付くはごはん、おにぎり。2曲目の「おにぎり物語」はもっといい。歌詞がよりトホホである。「おにぎりニギニギ」という繰り返しがまじで癖になる。作詞・作曲した伊藤美子とは何者? ちなみにサビ前のメロがロケチリの「オー・ダーリン」を思わせてニヤリ。なお、真ん中のコ、桂亜沙美は、この後ソロでアニメの主題歌をエイベックスIOからリリース、写真集もある。何はともあれ、4ヶ月以上デビューが遅れていたら、永遠に我がアンテナに引っ掛からなかっただろうなぁ(爆)
6.
さゆ★まゆ withラビッシュ/
おさかな天国;パン売りのロバさん

2002年5月22日発売/キング KICM-1053
「亜麻色」「古時計」「愛のうた」ときてもう一曲は言うまでもない「おさかな天国」である。この11年前作られた魚食プロパガンダ・ソングは、過去何度も随所でそのネタ度を語られた曲であった。私が開眼したのはあのメディア撹乱レーベル、ノーブルママ・レコードの作品の一枚のなかで「いや〜ん」さんがウクレレで弾き語りしたヴァージョンを聴いた時だった。どっかで聴いたなぁと思いつつリフレインに思いを馳せていたら、なんとデパートのお魚売り場で邂逅。いや、そこで脳裏に刷り込まれる方が普通なんだけどな。その後webの随所でオリジナル・ヴァージョンがCDで買えるという話を目にしたものだが、2002年3月、とうとうメジャーから全国発売という最終到達地点に。あの「たいやき」「だんご」のポニーキャニオンからである。そう聞いた段階からある程度の不安はあったが、いずれにせよ「だんご」のような過大プロパガンダを逃れ、着実にCDが売れ続けたのである。と同時にこのメジャー発売により「ネタ度」が急激に落ちたというのも事実なのである。大事に育てたお魚がみんなのものになってしまったという感じで。
「たいやき」「だんご」の時続出した便乗商品があまり出なかったというのも、いかにも不況な2002年らしい事実である(過去、水前寺清子の「魚のロック」やオパの「おさかなさんば」といった先駆者的な曲が存在したこともあまり語られないのだが)。しかしやっぱり皆無というわけではなかった。キングからカヴァー盤が出ました。歌ってるのはまだ10代になりたての姉妹で、「だんご」にも参加したひまわりキッズのメンバーでもある。ビートルズっぽさを随所に取り入れたアレンジは憎めない(私は「バック・イン・ザ・U.S.S.R.」に似せたアレンジを考えたが、具体化していない)が、やはり只のカヴァーの域を出てない。しかし! カップリング曲が待ってましたというべきネタである。それこそネタ的歴史の長さは「さかな」を遥かに凌ぐ、60年代から親しまれ続けた移動パン屋さんのテーマソングなのだ。90年代になってからミスタードーナツのCMに使われたあたりで、隠れネタ度が加速。そしてこうして初商品化に至ったというわけである。せこいアレンジとイノセントな歌声がノスタルジックかつ異次元ワールドに誘ってくれる逸品だ。ちなみにキングからは「踊れ! たいやきくん」という、オリジナル「たいやき」の作者コンビの夢よもう一度というべき妙曲も2002年リリースされたが、あまり話題にならなかった上、私の考えるネタ度も希薄である。ともあれ、キングという会社の重要度を色んな意味で痛感させられた2002年であった。後半にもう一曲、出てきまっせ。
というわけでお約束の後半はこちらです。なんでもありますチンカラリン。

(2003年1月3日)
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