気ままな語り倒し過去記録。

Case 20:
前置きはなし。忙しい上、発したい小言が多すぎる。でも、素直に凄いと感じたものに対しては、敏速に言葉を発さずにはいられない。

1. ザ・フー/マイ・ジェネレイション《デラックス・エディション》
(MCA UICY-7120〜1 65年作品;2002年9月11日発売)
出ると聞いたその日から、2002年度リイシュー大賞はほぼ決定となった、ザ・フーのデビュー・アルバムの決定版エディションである。
歴史的重要アイテムでありながら、プロデューサー、シェル・タルミーとフーの間に置かれた「リーガル・マター」の混乱に巻き込まれて、公式CD化が見送られていた(唯一、アメリカ盤CDのみ流通していたが、これとて「オリジナル仕様」でも質的「決定版」でもなかった)幻の作品が遂に登場なのである。しかも、タルミーの懺悔の気持ちもこめてか、長らく隠され続けていたオリジナル・3トラック・マスターからのリミックスによる新たな音場を得ての、まさに「末永く聴かれ続けるべきエディション」。量的にも、オリジナルLPトラックに加え、当初デビュー・アルバムを構成する要素として録音されていながら没になったカヴァー曲の数々や、同時期のシングル曲まで追加と、全30トラックの重量感溢れる作品として甦ったのである。
我々がどれだけ長い間様々な想いと共にこのリイシューを待ちわびていたか、思い返しても足りない程であった。しかしいざ実物を前にすると凄すぎて文句も出ない。ただただ若きエネルギーに溢れた音の渦に身を委ねるのみである。。。。などと書くとルル網らしくもないんでちょっと軽くなってみようと思うが、まずこのリミックス作業について。永らくモノでしか聴かれていなかった作品の新ステレオ・リミックスというと、まずビーチ・ボーイズの『ペット・サウンズ』が思い浮かぶ。そのリミックスが、幾つかの段階におけるマルチ・テープをシンクロさせて、一つ一つの音を繊細に拾い直しながら新たなる音場にアレンジされ直していたのに比べると....というのはあまりにも野暮だ。この『マイジェネ』の場合は元がトラック3つのみなのだから。リズム・トラック、リード・ギター、ヴォーカルという具合に振られていたと思われるこの3つのトラックを、モノ的な凶暴感を残しつつ再び巧妙に構成し直したタルミーのリミックスにまず息を飲む。まぁ、ダビングで追加されたと思われるタイトル曲のリード・ギターが入っていないというのは状況を考えると仕方ないが、無理して重ねなかったのにも意地を感じる。さすが、この作品の他に初期キンクスの名作群やクリエイションの「ハウ・ダズ・イット・フィール」を手掛けているのは伊達じゃない。過去何年間も文句ばっかり言っててすまないと謝りたくなる。
そんな音場を得て再び甦る、スウィンギング・ロンドンの荒くれた息吹き。ピートの楽曲も、ロジャーの凄いヴォーカルも、何もかも圧倒的だ。しかしやはり今はジョン・エントウィッスルのベース・プレイに熱くならずにいられない。リンゴ・スター&オール・スター・バンドの一員として来日した姿を見てはいるのだが、やはりフーの一員としての姿を観ることができなかったのがあまりにも悔やまれる。そしてもちろん嵐を呼ぶ男、キース・ムーンにも。
老いるより死んだ方がマシと、こんなかっこいい悟りも今は心にぐさりと。無理するのはよそう。
と、今まで持っていた唯一の『マイジェネ』が80年のヴァージンからの再発盤だった自分も素直にエキサイトしながら没入している本体LP収録12曲の他にも、タイトルだけが残った幻のB面曲、内輪ネタとしか思えない(のが既に対立していたタルミーへの明らかなあてつけだった?)「インスタント・パーティ・ミクスチャー」など、追加トラックも圧倒的なものばっかり。でも、最後に比較対照用としてモノ・ヴァージョンを2曲入れるんなら、LP全曲のオリジナル・モノも入れられたのでは? と人並みなツッコミも一応しておきたくなる。何せ本家が持っていたものだけに、このモノ版が従来のコンピその他に入ってたテイクと比べ物にならない程の音圧なんだから。タルミーのせこさが最後にちょっぴり。ついでにジャケ提供者としてあのDr.デメントが本名でクレジットされていたのにニンマリ。
何やかんや言っても今年のリイシュー大賞はやはりこれである。「ジ・オックス」を聴きながら、次なる祭りに期待で胸いっぱい。

2. ジェリーフィッシュ/ファンクラブ
(Not Lame NLA-007 2002年8月31日発売)
今年前半のエキサイトメントを凝縮したBOXといえばXTCの"Coat of Many Cupboard"だったが、それに匹敵する凄いブツが出た。何せオリジナル・アルバム2枚出しただけで消滅したバンドの4枚組ボックス・セットである......変かもしれないが、それこそがこのバンドの魅力の一つなんだから納得しなければいけない。
ハマー・タイム転じて挟間の時代(?)であった1990年に颯爽と登場、その過剰とも言えるポップ愛に溢れたサウンドで一部の好き者を興奮させたジェリーフィッシュ。中心メンバーの二人、アンディ・スターマーとロジャー・マニングの脇を固めたメンバーには、後により多くの好き者を魅了するソロ活動を展開したジェイソン・フォークナーや、後にユマジェッツという、さりげなくも良質のポップ・センスに溢れ、少数の好き者に注目されたバンドを結成したティム・スミスも在籍。偏執狂的なスタジオ・ワークをポップに昇華させた名作セカンド・アルバム『こぼれたミルクに泣かないで』で日本での人気が爆発した矢先、中心の二人の衝突により解散。これが1994年4月の出来事。
こうして振り返ると、彼等は「好き者同志が素直に好き者をそそる音を出し続けた」結果として、後がないところまで到達してしまったのかと思う。確かにバンド形態としては、マニアック度では負けていないスティーリー・ダンを連想させるものがあるが、それ以上に「デュークス・オブ・ストラスフィアに成ってる時のXTCにティーン・アピールを加えたバンド」という表現の方が彼等に似合うと思っている。だからこそ、このBOXの1枚目と3枚目に入っているデモ・トラックからして、もう好き者の意地全開で圧倒される。この音にスタジオ・マジックを加えて再構築しようなんて、普通の精神状態ではまず難しいと思う。対照的に、2枚目と4枚目で聴けるライヴ・バンドとしての彼等は伸び伸びと素直にポップ・バカ状態を爆発させているのだからさらに憎めない。バッドフィンガーやウィングスのカヴァーを楽しそうにプレイしながら、スタジオでのパラノイア的作業を笑い飛ばしてしまう。それも圧倒的表現力で。このバランスを保つのは並み大抵のことではないぞ。
こうして4枚のディスクに展開された彼等の足跡を追っていくと、結果的には楽曲の魅力が大きかったんだなぁということを思い知る。主要曲は3〜4ヴァージョン入ってるわけだし。リンゴ・スターの92年のアルバムの為に作られた5曲(!)ものデモ・トラックや、日本公演での茶目っ気たっぷりな「S.O.S.」(もち、ピンク・レディーの!)などの貴重曲も聴きものだ。私ゃこれのおまけについてきたTシャツに着替えて、ワイルド・ワンズのライヴ観に行っちゃったわけですよ。さぁ次はロジャーも全面参加してるベックの『シー・チェンジ』が控えてるな。(しかしこれが今年初めて買う純粋な洋楽の新作アルバムになりそうっつーのは情けなさすぎだなぁ)

3. タンポポ/All Of タンポポ
(Zetima EPCE-5177 2002年9月4日発売)
後藤真希、保田圭の「卒業」により、また「変動」の時代に突入しようとしているモーニング娘。周辺。先の二人が在籍しているプッチモニも、メンバー・チェンジにより持続することが決定となったが、このタンポポまで同然とは。確かにミニモニ。と顔的に被っているから仕方ないとしても。それよりも私としてはタンポポというと、モー娘。の胸キュン部門担当というイメージが大きくて、今度の変革によってその辺がどう変ってくるのか、かなり気になる。
そのタンポポの、現・真矢夫人、石黒彩が在籍していた第一期と、加護亜依・石川梨華加入後の第二期の主要曲をまとめたベスト・アルバムがこれ。考えてみれば第二期(プッチモニも)はアルバム出てなかったんだからなぁ。まぁ、シングル単位でいろいろとときめかせてくれたのがモー娘。周辺の功績と考えれば仕方ないが。まず目を引いたのがこのジャケ、まるで『ラモーンズ・マニア』のような。ジョーイ、ディーディー、黙って乾杯....まぁそれは置いておくとして、マニアックなくすぐり場が既に入口に用意されているとは心憎い。マニアックというと、一曲目からあの名曲、第二期タンポポのデビュー・シングルとなった「乙女 パスタに感動」だ。
今んとこ個人的には2000年代邦楽ベスト・シングルに挙げてもいいなって位好きな曲だし(と言っておいて、実は「THE夜もヒッパレ」で、眞鍋かをり他2000年度日テレジェニックの4人がこれを歌唱したという事実も重要なファクターとなっていることを隠さずにおこう。眞鍋の「うん!」にイチコロでした!)。乙女心にこの曲調とサウンドが見事に化学反応。考えてみればタンポポを重要視するようになったのも、ニッポン放送で加藤あいの番組の直前まで......おっと、もうこういう話は止めよう。その後続く第二期のシングル曲も、細部までくすぐり所に溢れたアレンジとともに彼女達の魅力が全開していて、ほんと魅了されましたよ。一方石黒在籍時の第一期は、違った意味でスリリング。「Motto」なんてシングルA面(?)にしていいのかという程危険で、その辺の感覚とモー娘。本来の明朗活発な魅力の綱渡り状態が実に醍醐味だったんだなと思い知る。だからこそ、最後に入ってる「たんぽぽ」の新ヴァージョンに加護ちゃんの声が出てきた時はちょい引きました......。そして第二期タンポポのラスト・ソングとなる「I & YOU & I & YOU & I」が随所で言われている通り、この究極ポップ路線の頂点とも言えるよく出来た曲で嬉しかった。
私がハロプロに求めているのは、ファースト・アルバムまでのあややの楽曲やこのタンポポに象徴的なあっさり風味の甘酸っぱさなのかも。だから今後は藤本美貴にもっともっと期待。童謡シリーズの『秋のうた』も美味しそうだ。以上、ルル網史上初のハロプロ語り(いや、あややのビデオについて語ったっけな)。イベントでは本来の自分を取り戻せました、うたか君ありがとう。というわけで。

(2002年9月12日)
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