気ままな語り倒し過去記録。
Case 15:

よしディスの方で「我が財布の行方」を断片的にやっているのですが、やはりある程度はまとめて形にしておかないとしょうがない。というわけで、時期的にも丁度いいと判断しここで語るとします。色々とわけあって新作再発和洋混合すみません。
(まず10)
2. プリンス/レインボウ・チルドレン (NPG/Victor VICP-61786)
3. V.A./ケロヨン・ソングブック 〜木馬座レコードの世界〜 (VAP VPCD-81421)
4. XTC/COAT OF MANY CUPBOARDS (英Virgin XTCBOX1)
5. V.A./Nederbeat 63〜69 (蘭Universal HM1351-2)
6. チーチ&チョン/Where There's Smoke (米Rhino R2-74265)
7. アソシエイション/ジャスト・ザ・ライト・サウンド (Rhino WPCR-11287〜8)
8. 雪村いづみ/フジヤマ・ママ (Victor VICG-60506〜8)
9. チューインガム/ゴールデン☆ベスト (Sony Music House MHCL-131)
10. ドッチ・ホームバーグ/サムタイムス・ハッピー・タイムス
(Sundazed/Ultra CDSOL-7048)
(10)-このところのカート・ベッチャー関連音源大量発掘には嬉しさの反面やり過ぎという感も免れなかったが、これは久々にきたね。元ゴールドブライアーズの歌姫にして、カートと音楽的に関わった3人の女性の内最初の人の未発表音源集。カートが直接関わったセッションからの3曲は期待を裏切らないが、この人独特のイノセントなポップ・センスの入口でしかない。彼女が主導権を握ったデモ音源は、カートからの影響を上手く消化しつつ、一味違うハーモニー作りと歌声が独自の世界へと誘ってくれる。特に"Love Is"。あの有名な日本のメロディーをここまで転化するか....とついつい涙が。ゴールドブライアーズ時代の"Haiku"とミレニウムの"Karmic Dream Sequence"の間に位置する貴重な曲だ。
(9)-「喫茶ロック」がきっかけとなって再注目された少女姉妹デュオの主要音源を集めたコンピ。なんと姉の松田りかさん本人によるライナー・ノーツが感動的である。これもwebがきっかけとなった縁であるなら、やはりやめられないな。(あの「岡田さん」本人もファンサイトの掲示板に登場したのだ!) そういう事は抜きにして単純に嬉しいCD化。今どきの思春期前の娘。にここまでイノセントかつ真剣なポップ追究が期待できるか。純粋なハーモニーを前に耳がしばし波打ってしまう。年令を重ねるにつれてお嬢さんっぽさが浮き立っていくのだが、根本的ポップ・センスはずっと不変で最後まで安心して聴ける。あとはピンク・ピクルスとかあの辺を.....黒沢さんがGSに次いで熱くなれるジャンルがこの手のガール・フォーク・ポップであると知ってるだけに.....期待なのです。
(8)-歴史的重要音源の王者ビクターの再奮起を予感させる重量感溢れる3枚組コンピ。ピチカート絡みの再評価がからんでいるのは言うまでもないけど、ここではあくまでもパワフルなポップ・シンガーの元祖としての彼女に焦点が当てられている。GS以前の日本のポップ・シーンの歩みも体感できるというわけである。しかしまぁロック的なアナーキー性をロック時代開始前に既に具体化してしまっている「マンボ・イタリアーノ」の凄さったらないね。逆にロック時代に入ってからは、真剣に大暴れする彼女の天然なロックぶりに周囲が狼狽しまくりでそこがまたたまらない。「火の玉ロック」は精神的に東京ビートルズと直結している(歌以外はね)。その後のシングル曲も是非復刻が待たれるところで、後は『スーパー・ジェネレイション』まで一直線だ。
(6)(7)-今年に関して言えばライノのリイシュー王再君臨はほぼ確実といったところ(ここ数年、個人的にはサンデイズドの方が凄かったもんね)で、それを象徴する2組の対照的アンソロジーである。いずれも遂に決定的アンソロジー登場で嬉しくなってしまいました。まずチーチ&チョン。70年代、ロック・コメディという新たなジャンルを確立してアメリカでの人気を絶大なものとした二人組。反体制であったりドラッグであったり、ブラックなテーマを扱っているものの、あっけらかんとした表現と複雑サウンド演出を得て仕上がりは実にロック的。山下達郎も大ファンというだけあって国内盤発売も期待したのだが、やはり訳詞が.....危ないしなぁ。対するアソシエイションは言うまでもなく「ソフトロックのチャンピオン」、こちらもやはりライノがやってくれました。レアな初期シングルやら未発表音源もてんこもりで聴きごたえ充分、音質も文句なし。ただ日本盤は契約の関係で何曲か入れ替えられてしまっているのだが、そっちにも別の未発表曲が......ああ全世界総ライノ化の道は険しい。ところでライノから出てる90年代ヒット・コンピの2枚組がなかなか見つからないのだが.....通販に頼るしかないか???
(5)はGSコンピを語った時にちょっと触れたオランダ発ビート・グループ集大成5枚組。『ナゲッツ2』箱で世界各国のビート・シーンの美味しさを垣間見た時、オランダのバンドのかっこよさはとにかく際立っていたが、こうして125曲聴くとただただ圧倒される。適度に破壊的でありつつ、根本的に哀愁メロディに支配されたこれらのバンドの音はGSファンにも魅力的だと思う。ガレージ・ファンに絶大的支持を得ているQ65、アウトサイダーズの主要曲に加え、モーションズ、サンディ・コーストといった主だった人気グループから知られざるグループの隠れ名曲まで。そんな中、世界的大ヒットである「ヴィーナス」や「リトル・グリーン・バッグ」がさりげなく地味な場所に置かれているのがまた憎めない。CD5にまとめて収まったオランダのカルトGS(?)によるレア曲もたまんない。特にスコープの(通称)「今日を生きよう」、テンプターズがお手本にしたのはこっちではないかと思わせる。
(4)-遂に実現したXTCヴァージン時代のレア音源BOX。デモ、アウトテイクのみならずシングル用に録られた未発表音源とかライヴ、そしてさりげなく既発表音源まで(普通のBOXだったら順番逆だろうに.....)交えた圧倒的ボリュームで、ただでさえポップ裏街道の帝王である彼等の奇跡を裏から辿れる快感。未発表音源のプロデューサーにもあっと言う名前が記され、彼等とヴァージンの普通ならぬ関係が伝わってくる。コマーシャリズムと芸術的昇華があらぬ方向に火花を散らしながら衝突する、その快感の創造過程を生々しく伝えてくれる全60曲。BOXにつきものの豪華ライナーもアンディとコリンが屈折味に溢れた文章を提供しており、日本盤が出ないのが惜しすぎ。
(3)-リイシューに関してはこれをトップに持ってくるしかありません。とにかくただただ感涙のアルバムだ。若者たちがサイケの幻想に浮かれていた時代、子供達のトップ・アイドルは他ならぬケロヨンであった。よって私なんかもう直撃世代ですよ。そんな67年〜69年、ビクターからリリースされていた一連のピクチャー・レコード(木馬座レコード)の復刻をずーっと願い続けていたわけですが、さすがVAPミュージック・ファイル、望み通りのものをやってくれました。ジャケットからしてもう直球ど真中ですよもうほんと。内容も素晴らしい。さすがいずみたく。時代の色をちゃっかり取り入れながら、あらゆる世代に優しいサウンドが全面に展開。ケロヨン声優の新井勢津朗氏の表現者としての力量、今聴くと少々固さが目立つけど親切なお姉さんぶり全開の森あき子さんの歌声、全てが憎めない。ケロヨン絡み以外の木馬座の曲はちょっとサービスという感もあるが、とにかく全編名曲だらけ。個人的には昔レコード持ってた「地下鉄モグちゃん」との再会があまりにも感動的でありました。買った翌日脳内でこの曲ずっとリピートしてたもんね。最高です。
(2)についてはここに書いた通り、名盤すぎです。本来は2001年度のベストに持ってくるべきだったんですが、今年2月国内盤発売のためこっちに来ました。トップ確定と思いきや.....いろいろな感情が絡まって(このアルバムの国内盤を出したメーカーに対するものが主ですけど)この位置に。
(もあ10)
エクレール/エクレール・ソングブック (COA COAR-0013)
小林旭/アキラ4 (Crown CRCN-40769)
ハル・ブレイン/サイケデリック・パーカッション (Universal UICY-3367)
ヒゲの未亡人/ヒゲの未亡人の休日 (Out One Disc DDCO-1001)
プティ・マミ/ガールフレンド、ベビー・ドール (Victor/Ultra CDSOL-1047)
マルカート/これからも (Gemmatika RSCG-1017)
メープル・リーフ/same (Victor/Ultra CDSOL-1048)
森川浩恵/筝 -koto- (Victor VICG-60493)
O.S.T./アイ・アム・サム (V2 V2CP-122)
V.A./CMソング・グレイテスト・ヒッツ (Chronicle TECD-25468)
番外
大場久美子 (東芝時代)/全て
南ピル子/メイドさんロックンロール、及びその周辺音源
ワイルドマン・フィッシャー/The Fischer King
(米Rhino Handmade RHM2-7701)
それにしても今年発売の「新録新作」が殆ど聴かれてなくて私としてもちょい腹立たしいのです。岸野さんのヒゲミボにしてもマルカートにしても森川さんにしても、この「もあ10」に押し込むのが勿体ない力作なんっすけどねぇ。洋楽となるともっとアレだ。聴く聴くと言っておきながら買った新譜はたった2枚(もちプリ様は除く、けどね)、いずれもカヴァー盤だもんなぁ。しかしやっぱ映画観た後だと『アイ・アム・サム』は外せないと感じました。一番気に入ったトラックはヴァインズの「アイム・オンリー・スリーピング」なんだけどこれ使われてなかったしね。あっ、ターシーの『ほんとの恋』もあったなぁ。でも聴後感が谷村有美の『圧倒的に片思い』に近いという感想だけで私の印象は察していただけるかも。
リイシューの方も土龍団監修の2枚やら大瀧さんのナイス仕事であるアキラ(個人的には「赤いトラクター」だけでもお腹いっぱい!)など新たな切り口が相次いで語りきれないです。ハル・ブレインの迷盤は他のサイケの歌ものと交互に聴くのがいいかも。そして手前味噌ながら『CMGH』は入れないわけにはいけません。
シングルでは断トツで藤原彩代の「おさい銭」です。U局の演歌番組でこの曲のプロモ(?)を観た時の衝撃はあまりに強力で、わざわざ浅草まで買いに行ったもんね。(ちなみにクラウンから本人出演の4曲入りカラオケLDが出てるが、あのプロモであれば是非欲しい.....) あと印象に残ったのはやはりバカ殿様とミニモニ姫。の「アイ〜ン! ダンスの唄」(の方だよね絶対)と桑田佳祐の「東京」(これがバカ売れするならまだまだ希望の光が.....)かな。そして番外。クーミンに関しては細々言っても始まらないでしょうが、とりあえず前回のページで特集した直後『ゴールデン☆ベスト』が出ました。前の2枚のCDを持っていない人に関しては必ずしも親切なベストとは言えないなぁ。3枚揃えるとファーストとサードの収録曲そしてセカンドのA面曲が全部集まるという配慮は嬉しいのか嬉しくないのか.....曲間のモノローグとかサードのイントロは欠けるわけだしね。そんな配慮のせいであの「ディスコ・ドリーム」が欠けてしまったのが最高に残念なんだけど。装丁も不親切だしね。と言いつつこのシリーズのソニー盤は3種類買いましたが(あと南沙織と太田裕美、さっきのチューインガム) 「MSR」とその周辺音源は我がネタ探求の道をさらに広げてくれました。紹介して下さった方々に感謝です。そしてライノ・ハンドメイドから出た奇跡のワイルドマン・アンソロジー。無垢と気狂いの背中合わせ。1000セット限定の内一つを都内で奇跡的に入手できたのですが、オフィシャル・サイトによるともう販売完了とのことで泣く泣く番外としました。
さぁ、忘れてはいけない、これを語ろう。
1. V.A./はっぴいえんどかばあぼっくす
(OZ disc OZD-091〜95)
結局手にすることになってしまった雄大な箱。音楽業界、情報システムへの挑戦状でもあり、屈折したリスペクト心の集合体がかえって実直さを体現するミュージシャンシップの洪水。それらを通してはっぴいえんどという、時代を造ったようで実はその後の時の流れによって歪曲されてしまった異端音楽家集団の存在感が自然と浮かび上がってくる。その姿は孤高でありかつ全てのものに対して目を向けているようだ。もう小言なんて必要無い素晴らしい作品であり、制作に関わった全ての人に向かって万歳をしたい気分。(もちろん敵にもね。)
1965年生まれの自分周辺の世代から見るとはっぴいえんどは偉大な人達だという認識は常識と思われるかもしれないが、それは思春期にYMOや『ロンバケ』や松田聖子を通過したからにすぎないのであって、それらの責任を担ったメンバーが在籍したバンドをリアルタイムで聴いているわけではない。その後の日本ロック・ジャーナリズムも含めたいろいろな伝説に惑わされながら(其れ故にある種の敵意も生んでしまったが)、我々の世代ははっぴいえんどの「偉さ」を知ったのである。いや、待てよ。リアルタイムで彼等が他の者にはない偉さを持っていると思った者だってほんの僅かではないか。ましてやもっと若い人達、簡単に手に入るリイシューCDで育ってしまった世代はそんな昔のことなんて知る由もない。ビクターの「トリビュート盤」が、リアル・タイム組の複雑な意見に惑わされず新世代への配慮を第一に作られているのに比べると、演奏者・制作者共自分に近い世代の者が中心となって作られたこのBOXにははっぴいえんどが通過した時代の持っていたギスギス感がしっかりと存在している。制作に関わった人々があらゆる「時代感」に惑わされず、はっぴいえんどの音楽が本来持っている特殊な感触に各々の音楽観を持って向き合った結果が、様々なスペクトルとの衝突により輝きを放ちあっているのが解る。だからこそ聴き始めると最後まで油断できない。
楽曲の魅力を語るのみならず、各々の演奏者の個々の活動にも目を配ってやって欲しいという思いに溢れた重量感溢れるブックレットも見事である。が、そこには一切webサイトのURLが記されていない。僅かに箱の裏にOZのサイトのURLがあるのみ。webでの情報なんてなんぼのもんやという、現代社会への挑戦さえそこにはあるのだ。店で商品を手にとって、面白そうだけどどうだろう、webサイトがあるんで先にチェックしようとメモをとる奴ら(自分も....だったりして)に警鐘を鳴らす。知りたいならまず足そして耳を使え、と。しかしそんな「商品」こそまず「敵」である。いい加減な商品と思われるものさえ心と血をこめて作っていた石油ショック以前のレコード業界への憧れ、転じて「商品至上主義」にまみれ、ハードウェアの都合さえ考慮しない昨今のレコード会社への怒り。はっぴいえんどのレコードが前者の屈折した象徴であるとすれば、ビクターの「トリビュート」が後者のシンボルか。そしてメジャーとインディーズなんて曖昧な定義区分にもズバッと鉈が。この箱に収められたアーティストの真心に接してしまうと、今までの自分の無闇な暴走ぶりを反省したくなる。
まぁ全てが一体となって饒舌に語ってくるとんでもないエンティティ、それがこの箱である。各々のトラックについて詳細に語る余裕がなく残念(ここだってwebだからねぇ)だが、一応、上野茂都は最大の泣きどころ。個々の作品をもっと聴きたくなったのは田中亜矢、辻睦詞、そして渚十吾さんはやっぱ凄い。湯浅さん、田口さん、皆さんどうもありがとうございました。
(2002年7月1日)
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